「一人薬剤師」はつらいよ〜年収・監査・在宅・転職・メリットを考える〜

一人薬剤師。特に地方や離島地域では一人薬剤師で営業する薬局は多い。

今回の記事では、一人薬剤師の年収はどのくらいになるのか、監査はどうしているのか、在宅はできるのかなど『一人薬剤師』という働き方にフォーカスをあて、どのようなメリットとデメリットがあるのかをご紹介します。

一人薬剤師の薬局は全国にどのくらいある?

一人体制の保険調剤薬局は全国にどのくらい存在するのだろうと、ネットや資料で探してみたものの、一人薬剤師体制で営業する保険薬局の数を公表したデータは見つかりませんでした。

しかし、平成29年11月22日~平成30年2月9日 に実施された、平成29年度かかりつけ薬剤師・薬局機能調査・検討事業の「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」によると、1人体制の薬局数は有効回答数(n=2315)のうちの19.1%となっています。

このデータは常勤換算となっており、実際はパートや派遣が含まれることが考えられるので、実質もう少し少ないと予想されます。

つまり、全国に存在する保険調剤薬局の10%〜20%が一人薬剤師の薬局となっています。

 

一人薬剤師は本当につらいのか

「一人薬剤師」についてどう思うかを調剤薬局の薬剤師に尋ねると、その回答の多くはマイナス印象です。

確かに、一人薬剤師では「わからないことがあった場合に相談できる人がいない」といった声や、「休日が取りづらい」というイメージがありますが、中には、「一人薬剤師の方がいい」と答える人も年配の薬剤師を中心に存在します。

ここがつらいよ!一人薬剤師 〜デメリット編〜

一人薬剤師に対してネガティブな印象を持つ意見をピックアップし、まとめてみました。

何かトラブルがあった時

一人薬剤師の場合、何かトラブルが起こると、完全に業務がストップします。

もともと小さい待合室なのに、スタンディングで待つ患者さんも出てくるほどで、子供が鳴き始めたらこの世の終わりを感じるようです。

 

患者との距離は近いのだが

一人薬剤師になると、患者さんの対応は毎回同じ人になるので、とても親しくはなるのですが、あまりに親しくなりすぎるが故に、話し込んでしまう患者さんが時々います。

たった一人の患者が長蛇の列の原因となることもあるので、時にはうまく受け流す能力も必要となります。

 

調剤過誤のリスク

一人薬剤師になると、調剤過誤のリスクは上昇します。

自分で調剤したお薬を自ら監査しようと思っても、疑いの気持ちを持って監査できません。二重監査しないと、用意したお薬に間違いがあったとしても、ミスに気づかない可能性が高まります。

「あの薬合っていたかな・・・」とお薬を渡した後に不安になることも多く、精神的にまいってしまうことも多いようです。

 

とりあえず寂しい

もともと誰かとおしゃべりをすることに喜びを感じる薬剤師にとっては「寂しい」と感じる人もいるようです。

一人薬剤師の場合は基本的に、事務もしくは患者が毎日のお話相手となります。

 

一人薬剤師は休日が取りづらい

急な用事や、体調が悪さなどで、どうしても欠勤したい場合、非常に困るのが一人薬剤師。

近隣の医療機関が開いているのであれば、確実に営業しなければ患者は困るわけですし、基本的に薬局は開けなければならない。

複数店舗展開の薬局の場合は、他店の薬剤師が代わりに入ることがありますが、それでも医療事務が棚位置や在庫を把握していないと、ほぼ営業は成り立ちません。

派遣の薬剤師も手を挙げる人が比較的少なく、時給が数百円上がることがありますが、それでも充足しないことも多い。

もし、一人薬剤師を行うのであれば、事務の人が対応できるように教育したり、店舗初めての薬剤師がヘルプに来ても対応できるような棚配置にし、一連の業務マニュアルを作成する必要があります。

 

むしろいいけど?一人薬剤師 〜メリット編〜

これまで一人薬剤師のデメリットとなるところを上げてきましたが、一方で、「一人薬剤師の方がいい」という人も中には存在します。特に、一通り薬剤師業務を覚えたベテラン薬剤師を中心に多いです。

人間関係のトラブルが少ない

一人薬剤師だと職場の人間関係を気にしなくて済む。

もちろん、平穏な職場の薬剤師には関係のない話ですが、泥沼化しているストレスフルな職場の薬剤師にとっては憧れの職場に感じるかもしれません。

ただし、医療事務との時間は長くなります。

 

患者さんとの距離が近い

この回答はデメリットにもありましたが、逆に「メリット」として考える一人薬剤師も多い。

「XX薬局へ行けば、いつも薬剤師のXXさんがいて相談に乗ってくれる。」「XX薬局の頼りになる薬剤師さん。」と思ってもらうことは、複数の薬剤師がいる薬局ではなかなかできません。

タイミングなどで、服薬指導する薬剤師が毎回変わることがないので、患者にとって唯一無二の薬剤師となり、真のかかりつけ薬剤師のような感覚となります。

毎月訪れるその患者の顔を見れば、薬歴を見ずとも前回の症状や検査値を思い出すかもしれません。

 

意思決定が早い

一人薬剤師になると、他に相談する薬剤師がいないため、基本的に自己解決することになります。

優柔不断な人は困ることも多いと思いますが、決断力がある人や、知識がある薬剤師なら、解決に至るまでの時間がかからず、むしろ好都合(わざわざ相談する必要がないので)。ただし、責任は全て自分に降りかかるので、責任感がない人は向かないかもしれません。

 

高年収になりやすい

一人薬剤師になると、高年収になったという声も多い。これは大手チェーン薬局ではなく、中小規模や個人薬局で勤務する一人薬剤師で多い意見です。

一人薬剤師になるとどのくらい高年収になるのか、その理由に関しては、後半で詳しく解説したいと思います。

 

体力的に楽な職場に当たることも

処方箋枚数が少ないにも関わらず、どうしても営業を続けなければならない薬局などが時々存在します。そのような薬局では高年収とはならないものの、ゆったりとしたペースで仕事をすることができます。

薬剤師のタイプは人それぞれ、要領良く自身の何かをするにはいい職場と言えるでしょう。

 

薬剤師に聞いてみました
一人薬剤師の監査はどうしてる?

一人薬剤師に対する印象で最も意見が多かったのが、「一人で調剤、監査を行うことの不安」です。

そこで一人薬剤師として勤務する薬剤師はその状況をどのように乗り切っているのか、実際に働く薬剤師に、その攻略方法を聞いてみました。

自動監査システムの導入

私の薬局では一人薬剤師になった時から、自動監査システムを導入しています。この機械はお薬についているバーコードを読み込んで、処方箋記載の薬剤と実際にピックアップした薬剤との正誤を判断してくれます。

私の薬局で導入している機械はお薬一種類毎に正誤を判断してくれるものですが、高価な機械になると数種類の薬剤を1回で判断してくれるものもあるみたいです。

 

非薬剤師によるチェック

二重監査の目的で、私がピッキング・調剤した場合は、事務に処方箋とお薬の照らし合わせをしてもらっています。時々指摘されますので非常に助かりますね。

もちろん、事務はお薬の種類と数しかチェックできないので、飲み合わせや相互作用の監査は自分でする以外方法はないので、気休め程度かもしれません。

 

患者さんと一緒にチェックを行う

私はお薬をお渡しする時に患者さんと一緒にチェックしてもらっています。

普段から飲み慣れている薬であれば、何か違えば患者さんも気づくはず。薬局によっては袋に入れて渡す人を時々見かけますが、絶対一緒に確認した方がミスも大分減りますし、もし間違った場合にクレームの大きさが違います。

 

ITテクノロジーに頼る

お薬の飲み合わせに関してあまり知らない薬剤がある場合、薬歴コンピュータの搭載されている機能に頼ることがあります。併用禁忌や慎重投与はもちろん、血中濃度の変動まで一目でわかるので重宝しています。

一人薬剤師も複数の薬剤師体制の場合も大きく監査方法は変わらないものの、一部では自動監査システムを導入したり、非薬剤師に数や数量のチェックをしてもらっているようです。

 

その疑問に答える!
一人薬剤師は高年収なのか

一人薬剤師は高年収。時々、そのようなことを聞いたことがある人もいるかもしれませんが、実際はどうでしょうか。

結論を申しますと、会社規模や営業時間に影響しますが、だいたいは正解で、一人薬剤師は高年収になることが多いんです。

一人薬剤師をやりたくない人がほとんど

想像はつくかもしれませんが、ただ単に、ほとんどの人が一人薬剤師をやりたがらないから、少し相場平均より釣り上げて、募集しているということがあります。

その薬局の営業時間や勤務日数、応需処方箋枚数、技術料などにもよりますが、もし仮に、その地域の相場が年収600万円だとすると、一人薬剤師だと年収650〜700万円くらいになると思ってくれれば良いと思います。気持ち少し上がる程度です。

もちろん、これは処方箋枚数を確保できている場合で、処方箋枚数20枚/日程度では高年収になることはあり得ません

 

また、処方箋枚数1日100枚を薬剤師2人で処理するのと、1日50枚を薬剤師1人で処理するのでは、後者の方がはるかに大変です。利益率に関しては前者の方が大きくなります。

一人薬剤師の店舗は、大変であるのに、人材を入れにくく、利益率も少ない

このような考えから、大手薬局チェーンを中心に一人薬剤師の店舗を独立起業希望者に売却する動きが強くなっています。

 

大手チェーン薬局では高年収ではない

大手チェーン薬局では一定の基準を設けた給与体系の理由から、一人薬剤師の店舗だからといって、他の複数薬剤師体制の店舗のスタッフより給与が高くなるということはありません。

ただし、門前のクリニックの影響で薬局の営業時間が規定時間より長くなる場合は、残業手当によって少し収入が高くなる場合があるが、あくまでたくさん働いているという理由です。

 

一人薬剤師の個人薬局

独立開業する個人は、調剤技術料100万円〜200万円弱/月の一人薬剤師規模の安価な薬局を購入して始める人が多いのですが、安定した処方箋枚数が確保され、開設者本人が薬剤師として店舗に入れば高年収となる場合があります。

自ら管理薬剤師として現場に立つので年収換算にして1,000万円を越えることも結構多いですが、しばらくの間は借金の返済が続くこととなります。

基本的に難ありの案件しか表に出てこないので、案件探しは慎重に、高年収を目的に安易に薬局譲渡を受けるのは危険だということを考えて起業を検討しましょう。

一人薬剤師は高年収を得られる可能性がありますが、本当にそれ相応の価値があるのかをご自身でしっかり考える必要がありますね。

 

一人薬剤師による在宅(訪問指導)

一人薬剤師で在宅(訪問指導)を行う薬剤師はいっぱいいる

一人薬剤師の場合、通常の外来調剤があり、薬局を留守にできないといった理由から、在宅(訪問指導)を行えないと考える薬剤師がいらっしゃいます。実際、在宅に関する調査報告でも、在宅を行わない理由に「一人薬剤師だから」と答える薬局は多い。

しかし実は、全国には一人薬剤師でも在宅(訪問指導)を行う薬局はたくさん存在します。

では、どの時間に在宅(訪問指導)業務を行えば良いのでしょうか。

 

どの時間に在宅(訪問指導)を行えばいいのか

基本的には薬局の営業時間には薬剤師が常駐していなければならないので、営業時間内に在宅(訪問指導)をすることはできませんが、休憩時間や営業終了後などを利用して在宅(訪問指導)業務を行うことが可能です。

緊急時に関しては、薬剤師不在時間での薬局の営業が認められているので、事前に保健所に届出を行い、調剤室を閉鎖するなどの措置を行えば、薬局を閉局せずに、外出して在宅(訪問指導)を行うことも可能ですが、外来調剤の関係上ほとんど行う薬局はありません。

また、定期的に在宅(訪問指導)の時のみサポートしてくれる薬局を探し、お互いに協力し合ったりする方法や、在宅(訪問指導)の時間に入れるパートを採用したり、派遣を依頼する方法なども考えられます。

 

転職に関して『一人薬剤師』を考える

一人薬剤師を避けるには大手を選ぶ

先ほど申したように、大手調剤薬局では扱いにくい一人薬剤師薬局をどんどん売却しています。

もし、転職する際に一人薬剤師の店舗になるリスクを避けるには、大手グループの調剤薬局を狙うのも手段の一つです。

もちろん、薬剤師はまだ需要過多な職種なので、中小規模の薬局でも、希望を伝えさえすれば一人薬剤師の店舗を避けることは可能ですが、その薬局の規模・処方箋枚数の変動によっては、勤務店舗が途中で一人薬剤師になることも考えれるでしょう。

 

もし一人薬剤師で年収を上げるためには

結局、一人薬剤師にはメリットとデメリットがあり、人の好みでどちらが魅力的に感じるかは異なります。

もし、一人薬剤師の店舗への異動辞令があったり、転職活動で一人薬剤師の求人が気になった際は、本当に自分はその店舗でやっていけるのか、それ相応のフィーは得られるのかをしっかり検討するようにしましょう。

一人薬剤師に挑戦したい場合も、避けたい場合も薬剤師紹介会社のコンサルタントは相談に乗ってくれます。

コンサルタントは数多くある求人の中から、一人薬剤師案件のものと複数体制の案件をピックアップし、さらに年収を上げる交渉もしてくれるので、うまく利用した方が良いでしょう。

正社員やパートで転職するなら

正社員やパートタイムで転職するなら、一般的に、大手と言われる薬剤師紹介会社が人気で、実績、コンサルタントスキルなど総合的にレベルが高いと言われています。

ただし、自身とコンサルタントとの相性もありますし、各社紹介できる求人件数も限られてきますので、好条件の求人に出会うためには複数社の登録が必須です。登録も簡単で無料なので、2〜3社登録するように意識しましょう。

『正社員・パート』で推奨する紹介会社

・マイナビ薬剤師
・薬剤師転職ドットコム
・ファーマキャリア
・ファルマスタッフ
・リクナビ薬剤師

マイナビ薬剤師
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派遣薬剤師に挑戦するなら

一人薬剤師の店舗への長期派遣は基本的には存在しませんが、単発での派遣は頻繁にあります。

高収入高待遇で有名な派遣薬剤師として働く場合には、薬剤師専門の派遣会社に登録する必要があります。薬剤師の派遣は取り扱っている会社が限られます。

以下に薬剤師に人気の派遣会社をご紹介しますので、参考にしていただけたらと思います。なるべく、高時給の案件がを得たい場合は、ここでも複数登録が必須!少なくとも2社は登録するようにしましょう。

『派遣』で推奨する紹介会社

・薬剤師転職ドットコム
・ファルマスタッフ
・アプロ・ドットコム
・ファル・メイト

薬剤師転職ドットコム
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医療機関・薬局との太いパイプ
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正社員 パート 派遣
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2018.08.04

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