日本政府観光局の調査では2018年訪日外国人観光客数が3000万人を突破し、今年もその記録を更新するとみられています。
そんな国際化の流れもあってか、英語の勉強を始める薬剤師も少しずつ増えてきている。
国内の英会話スクールや話題のオンライン英会話(DMM英会話、レアジョブなど)、最近では海外の語学学校に行くために仕事を退職する人までいるほど「英語」は今賑わいを見せています。
今回の記事では、英語を習得して英語を生かしたい薬剤師もしくは英語力を上げたい薬剤師が、国内のどのような仕事・職種で働くことができるか・求人はあるのか・どのような地域で働くべきかを考えました。
Contents
薬剤師 × 英語 × 求人
薬剤師が英語力をいかすならこの仕事
せっかく海外へ行ってまで英語を習得したのに、英語を使わないともったいないし、使える英語をすぐに忘れてしまう。
英語力を活かすというだけなら、翻訳家やキャビンアテンダント、外資系企業などたくさんの職種が考えられ、求人も一定数存在しうるが、今回はあくまで薬剤師の職能を生かしつつ、英語も触れていたいという観点で仕事(求人)考えることにしました。
広告代理店(メディカルコピーライター)
時々求人サイトでメディカルコピーライターの募集が出ていますが、それらは主に医療系広告代理店からの募集(求人)です。クライアントは国内外の製薬会社で基本的に営業と複数のライター、クリエイティブのチームでプロジェクトを遂行します。なお、ライターは必ずしも薬剤師である必要はありませんが、理系大学・大学院出身者が多い。
主な仕事内容は医師、薬剤師、コメディカルや患者向け資材などの作成です。かなり専門的な資材や記事を制作しますので、国内外の学会に出席したり、医学論文を読んだりと、専門的な勉強をすることも多いです。
ただ、英語のリーディング能力は必要とすることが多いですが、ライティングやスピーキングはほとんど使いません。これは国内外資系企業問いません。
企業にもよりますが、残業もなかなか多い業種です。残業時間は求人要項に書かれていないこともあるので、もし興味を持った場合は人材紹介会社のコンサルタントにどの会社は残業が多いのか、どのくらいあるのかは聞いた方が良いでしょう。大手の人材紹介会社では、過去の多くの転職者の情報から、各社の残業時間を把握しているようです。
求人がある主な医療系広告代理店:マッキャンヘルスジャパン、ターギス、電通サドラー・アンド・ヘネシー、真和など(全て外部リンク)
CRO(受託臨床試験機構)
CROは医薬品の開発や治験をおこない製薬会社を支援する業態です。製薬会社は、新薬開発を自社だけでおこなうには限界があるため、積極的に外部リソースを活用しています。
CROでの採用職種(求人)としては、CRA(臨床開発モニター)、DM(データマネジメント)、QC(品質管理)などのポジションがあり、特にCRA(臨床開発モニター)の採用ニーズが常に高い状況が続いており、薬剤師は優遇されます。
CRAのモニタリング業務は、医薬品の臨床試験の実施基準であるGCP(Good Clinical Practice)の二大目的である、「治験に参加する被験者の権利および安全性が守られること」、ならびに「治験から得られたデータが正確で信頼できるものであること」が保証されているかどうか、また治験が治験実施計画書を遵守して行われているかどうかを確認する仕事です。薬剤師ならなんとなくわかると思います。
最近のCROが受託する案件の傾向から、外資系製薬メーカーの案件が多く、レポート先がアメリカなどの本国になるため、英語力のある薬剤師ですとさらに活躍できる幅が広がり、求人もそれなりにあります。
求人がある主なCRO企業:イーピーエス、シミック、IQVIA など(全て外部リンク)
医療翻訳家
仕事内容は治験薬概要書(investigator’s brochure, IB)、コモンテクニカルドキュメント(Common Technical Document, CTD)、プロトコールなど薬事関連翻訳がメインですが、そのほかに学会の要約などまで仕事は多岐に渡ります。
毎回テーマが異なり、抗がん剤、糖尿病、あるいは臨床などさまざまな案件が来るので、自然と広範な知識が蓄えられます。一つの専門的な知識というより、広範囲のメディカル知識があるといろんな仕事に対応できます。
翻訳の仕事には「日英翻訳」と「英日翻訳」があるのですが、特に日英翻訳(日本語から英語)を苦手とする人が多く、それだけ需要も大きくなります。
あまりネット上にに募集(求人)は見られませんが、医療関連企業や医療機器メーカー、製薬会社などでも、翻訳者の直接雇用を行っている場合もあります。翻訳会社より、メーカー勤務の方が給与は高いので、人材紹介会社に求人はあるかどうか照会してもらうといいかもしれません。
会社所属の医療翻訳家として数年経験を積んだ後に、フリーランスの医療翻訳家として活躍する人もいます。
外資系製薬企業
製薬企業に限らず英語が喋れることで、外資系企業からの需要は高くなり、求人もあります。
当然ながら製薬企業に関しましては、薬の専門家としてのポジションは存在します。ただ、上司や同僚はもちろん、通話相手が外国人というのは当たり前となってきます。連絡や報告をはじめ、医薬品関連のレポートや資料の作成、交渉なども主に英語で行うこともあります。
製薬会社は福利厚生が他業種と比較して充実していると言われています。中途未経験で花形の研究職というのはさすが難しいですが、製薬会社には臨床開発職やマーケティング、先ほど紹介した翻訳家など様々な職種があるので、一度どのような求人があるか紹介会社のコンサルタントに尋ねてみてはいかがでしょう。
チーム国境なき医師団(MSF)などの医療人道支援団体の薬剤師
MSFが運営支援する病院や診療所で、医薬品や医療資材の発注供給、薬局の管理、スタッフ指導を行います。派遣期間の目安は6ヵ月〜1年間です。
募集条件に「フランス語またはアラビア語のコミュニケーション・語学力」や「総合病院での勤務経験」「マネジメント・監督・教育の経験」などもあるので一般的な薬剤師としては結構ハードルが高い気がします。
もし、興味ある方はMSFのホームページで確認してください。給与は当然ですが低く設定されており、17〜20万円程度です。お金では買えない経験ができるかもしれません。
外国人の多い地域のドラッグストアー薬剤師
近年のインバウンドの影響が最も強い仕事がこのドラッグストア業界です。
現在のところ英語が苦手な中華系の観光客がほとんどなので、英語より中国語ができた方が重宝されますが、さらに国際化が進むとやはり英語力が非常に重要となってきます。
すでに人気観光地や国際線空港内にあるドラッグストアーでは英語ができるスタッフが大変重宝され、求人も一定数あります。
せっかく日本を楽しみに訪れたのですから、最高の健康状態で日本を楽しんで欲しいものです。外国人にとって、症状に応じてお薬(OTC)をピックアップし、英語で説明してくれる薬剤師は非常に頼もしい存在なんです。
外国人の多い地域の調剤薬局薬剤師
調剤薬局にも稀に外国の患者が訪れます。特に粉薬などは外国ではあまり使われないので、小児科領域で粉薬が出された時によく飲み方を聞かれることが多いです。
ただ、日本全国の薬局全体で考えると、外国人はほとんど調剤薬局には現れません。
一部の地域の薬局を除けば、1日につき外国人が薬局に現れるのは多くても1日1〜2人程度で、もしそれ以上の外国人が来局する薬局なら「外国人が多い薬局」と言ってもいいくらいです。
日本全国で英語力を生かせる調剤薬局といえば銀座、秋葉原、大手町、新宿などの外国人観光客やビジネスマンが多い場所に出店している調剤薬局や大使館や外資系企業の多い六本木、麻布周辺に英語圏の患者が時々現れるため、身についた英語力が生かせることもあります。
多少訛りはありますが、東京都江東区周辺も英語を公用語とするインド人がご家族と共にたくさん住んでいますので、英語を話す機会はそこそこあります。
ちなみに、外国人を積極的に受け入れていることでメディアに取り上げられているのが、アインホールディングスの運営する「アイン薬局 大手町店」。同ビル内に外国人ビジネスマンや観光客がよく利用するクリニックがあり、1日6、7人が訪れることも珍しくないと言います。
上に紹介した以外にも、英語を必要とする仕事、職種は多岐に渡ります。一般公開されていない、紹介会社を通さないと知ることもできないエグゼクティブな求人もあったりします。一度、大手紹介会社にどのような求人があるかピックアップしてもらうと良いでしょう。
↓ ↓ ↓ ページ最下部でご紹介しています ↓ ↓ ↓
日常的に英語を使う!
いっそのこと欧米人の多い地域に住むという考え
American village / 北谷町
英語をいかす仕事と言っても、普段の生活で英語を使わなければすぐに忘れて言ってしまうのも事実。それなら、思い切って英語圏の人が多く住んでいる地域に飛び込んでみるのもいいかもしれません。
そもそも日本に英語圏の外国人はどのくらい住んでいるのか
先ほど調剤薬局を紹介するときに、欧米人が多く住む地域をいくつか紹介しましたが、実際は日本に住む外国人のほとんどがアジア系です。
平成28年在留外国人の統計資料によると、日本の総人口のおよそ2%を占めている外国人のうちおよそ83%が中国や韓国などのアジア系外国人です。
年配の中国人なんかは簡単な英語ですら喋れない人もいるほどで、アジア系の日本在住者は基本的に日本語が喋れるので英語は必要としません。
一方、日常的に英語を話す北米人やヨーロッパ人はそれぞれ3%程度。(オーストラリア人は0.5%程度。ヨーロッパ人の中にイギリス人以外も含む。)
すなわち、日本に在住する英語圏の外国人なんてほんの一握りなんです。
だから日本国内で英語を聞く機会は日常生活においてほとんどありません。ある都道府県を除いては。
英語力を生かそう!
日本で英語を話す外国人が最も多く住む地域はここ!
実は日本の中で英語圏の外国人が多く住む地域が1つだけあります。しかも基本的に日本語を喋りません。どこだかわかりますか?
正解は、沖縄県 です。
国勢調査によると、沖縄県の推計人口はおよそ140万人。そのうち外国人人口は11,020 人で沖縄県総人口の0.8%です。(2019年1月)
国籍別に見るとアメリカ最も多く 2,404 人(外国人人口の21.8%)、次いで中国が 1,776 人(同 16.1%)、次 いでフィリピン 1,307 人(同 11.9%)となっています。
ただ、確かに英語圏であるアメリカ人やフィリピン人(第二公用語)の割合が他の都道府県よりダントツで多いが、母体数としては思ったほど英語圏の外国人は住んでいるようには見えません。
その理由は、在日米軍とその家族の人数がこの統計に含まれていないためです。
沖縄県の米軍関係者は日本全体の50%を占めており、その人数は47,300人となっています。(沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)平成27年3月)
集計した年が異なるので、正確には言えませんが、沖縄県にはおよそ140万人の人が住んでいて、そのうち5万人がアメリカ人ということになります。すなわち、沖縄にいる人の28人に1人の割合でアメリカ人ということです(ただし観光客を除く)。
特に米軍キャンプ周辺やアメリカンビレッジで代表される北谷町(ちゃたんちょう)、沖縄市周辺に行けば、その割合はぐんと上昇し、「ここは外国なのでは?」と思うほどアメリカ人だらけです。(観光客のほとんどは韓国人と中国人なのですが。)
早朝、アメリカンな格好でランニングをする人や、スケートボードで突っ走るアメリカン。ベビーカーを押しながらNew styleでランニングする人や、自転車の後ろにベビーカーをくっついている日本では見られない謎の光景をここアメリカ・・・いや、沖縄では普通に見られます。
夜におしゃれなバーに行けば、ほぼ全員がアメリカ人なんてことはほぼ毎日のようにあり、週末になると、元気な若い米軍らがこぞって夜の街にくり出し、そこはビバリーヒルズ青春白書の世界(えっ少し古いですか?)。
SO! ここは自由の国 U.S.A !!!
薬局や病院で英語力を活かせるわけではない
ただ、一つ注意して欲しいのが、沖縄にはアメリカ人はいっぱいいるが、調剤薬局にアメリカ人が4人に1人の割合で来るわけではないってこと。
米軍やその家族は基本的に沖縄のキャンプ内(一応アメリカ)で暮らしています。
上官クラスになるとキャンプ外(日本)で暮らすようにもなりますが、大きな海軍病院が米軍キャンプ内にありますので、その病院で診察を受け、そのまま薬をもらうので日本の病院・薬局に行くことはほとんどありません。
なので、沖縄に行けば仕事で英語力を活かせるというわけではなく、あくまで日常生活において英語力を活かすということである。
英語力を落とさないためにも、英語力を上げるためにも
結局、英語力を上げたり、上げた英語力を維持するためには常に英語に触れていなければならないんです。調剤薬局や外資系企業で時々英語に触れる程度ではどんどん英語を忘れていくでしょう。そこで!
薬剤師として沖縄に来ませんか?
結局、この記事で一体何が言いたいのかって。
薬剤師のみなさん!沖縄に来ませんか?ってことです。(なんか少しテーマと違う気がしますが、それは気のせいです。笑)
当サイトはそもそも「沖縄いいところだよ〜」「沖縄もの薬局すごく働きやすいよ〜」というのを全国の薬剤師に知ってもらうためのサイトです。
沖縄は本当にいいところです。
みんな陽気だし、一年中あったかいし、海は綺麗だし、自然はいっぱい、アメリカ感すごいし。那覇や浦添なんかは普通に栄えていますよ。
耳をすませば、薬剤師のみんなDA PUMP のU. S. A 歌ってます。
いいところをあげればキリがないですが、とりあえず沖縄で暮らしたらストレスフリーだし、英語を話す機会いっぱいあるし、ものすごくアメリカ人や英語圏の友人が増えます。英語力活かしまくりです。仕事にも困ることはありません。
薬剤師と英語力を生かす!求人を探す!
企業もしくは外国人の多い薬局へ転職するなら
英語力を活かせる企業の仕事や外国人観光客の多い薬局を独力で探すのは非常に困難です。そんな時は、人材紹介会社に頼るのがベター。
人材紹介会社のキャリアコンサルタントは転職のエキスパート。
転職希望者が希望通りの転職を行えたら、紹介会社は採用した企業から成功報酬を受け取る仕組みになっているので、転職希望者は無料で利用でき、どんな難しい条件*もとりあえず受け入れて相談に乗ってくれます。*依頼された内容にもよる
ちなみにメディカルコピーライターやCRO、外資系製薬会社など一般薬剤師以外の仕事が他にどのような求人があるのか探したい場合は、一般企業向け業界大手人材紹介会社運営の『DODA』や『リクルートエージェント』がいい。
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一度、沖縄の薬局・病院で薬剤師として一旗揚げてみませんか? (by ウチナー薬剤師レイナ)