五島列島(ごとうれっとう)はほぼ全域が西海国立公園に指定されており、コバルトブルーの美しい海と白砂が広がる『自然豊かな祈りの島』です。
その特徴は、2018年に登録された世界遺産『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』に代表される地域の1つであること。各島にはそれらに代表される教会群やその集落が今も残り、当時のカトリック信仰の面影を残します。
今後、さらに新たな観光地として世界中から注目されていく長崎県『五島列島』の魅力や概要、医療機関の情報、薬剤師の年収や待遇をご紹介します。
Contents
自然豊かな祈りの島『五島列島』の魅力
五島列島ってどんなところ?
五島列島は、九州の最西端にある長崎港より西に100 kmに位置し、その島々は北東側から南西側に80km(男女群島まで含めると150km)にわたり、大小あわせておよそ140の島々が連なる列島です。
五島列島の人口はおよそ7万人で、人口の60%を占める列島南部の五島市(福江島、奈留島、久賀島など)をはじめ、南松浦郡新上五島町(中通島、若松島など)、北松浦郡小値賀町(小値賀島など)、佐世保市(宇久島など)、西海市*(平島、江島)の市町村群から成り立っています。*五島列島に含まれないことも
ちなみに「五島列島」とは島の外から見た人々の呼び方で、島の人の会話の中ではあまり使われません。五島列島は北東から南西に長く伸びているため、全体を大きく二つに分けて、、福江島周辺を単に「五島」と呼ぶことがほとんどで、2番目に大きな中通島を中心とする北東部をを「上五島」や単に「上(うえ)」と呼ぶこともあります。
なお、日本全国の多くの離島と同様に、五島列島の人口は年々減少傾向にあります。特に、上五島地域に関しましては、五島市と比較してその減少傾向が著しい。そのため、五島市や新上五島町では、島外へ転出した若者の20〜30代での早期でのUIターンを促すための対策を検討し、五島列島の豊富な自然や観光ルート開発を行い、交流人口の拡大を図っています。
① 福江島(ふくえじま):37,415人
② 中通島(なかどおりじま):20,299人
③ 奈留島(なるじま):2,764人
④ 宇久島(うくじま):2,559人
⑤ 小値賀島(おぢかじま):2,438人
五島市や新上五島町では、生産人口を増やす取り組みの1つとして、『空き家バンク制度』を作り、五島列島への移住を促す取り組みを始めています。五島への定住促進を目的とした、市内での生活を短期的に体験するための住宅です。また、移住希望者の仮の住宅として、移住するための住宅を探すまでの間、利用することができます。
島外から薬剤師として五島列島の薬局や病院へ赴任する場合は、家賃補助や社宅を貸し出してくれる場合がほとんどですが、その裏で自治体がこうした取り組みを行なっていることを知ることは、島人の一人として生活していく上で非常に重要です。
・五島市空き家バンク制度(https://www.city.goto.nagasaki.jp/iju/li/010/index.html)
・新上五島町交流プラザ(https://kami510.com/iju/)
五島列島は自然海浜や海蝕崖、火山景観など複雑で変化に富んだ地形で、ほぼ全域が西海国立公園に指定されています。豊かな自然景観を有しており、テーブルサンゴが群生する透明度の高い海、さらに白砂とエメラルドグリーンの海が広がる海水浴場など、美しい海と豊かな自然が溢れ、四季を通じて釣りやマリンスポーツなどが楽しめます。さらに、対馬海流などの影響で年間平均気温約17℃と温暖で、一年を通して過ごしやすい気候です。
古くは遣唐使の寄港地として海外交易の拠点として栄え、またカトリック信仰の地として多くの教会が点在し、さらに倭寇や空海の伝説が残り、城郭や武家屋敷など歴史文化遺産も豊富です。最近では、2018年にユネスコ世界遺産委員会によって世界文化遺産『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』に登録され、ようやく五島観光の1つとして世界から注目され始めました。
潜伏キリシタンの歴史が残る世界遺産の島『五島列島』
堂崎天主堂
人によっては、五島といえば潜伏キリシタンの島であるというのが最初に思いつくかもしれません。
16世紀にキリスト教が日本に伝えられ、長崎は信仰の中心地となりましたが、豊臣秀吉による禁教令が出され、キリシタンへの迫害が始まりました。
大村藩で起こった大規模なキリスト教迫害の後、大村城下から離れた外海に潜んだキリシタンは、さらに五島・三井楽へと海を渡りました。
人々は人里離れた山あいや小さな入江近くに集落を作り潜伏を続け、やがて信仰の自由が認められた時、信者たちは自らの財や労力を捧げて教会を次々と建築していきました。
過疎化によって信者が減少していく地区もありますが、信者の熱意により今も信仰が受け継がれています。その歴史を物語る「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、2018年に世界遺産となりました。
世界一きれい!?マリンブルーの高浜海水浴場
五島列島のメインアイランドである福江島にある高浜海水浴場は「日本一美しい」とも言われるほど全国的にも有名です。(日本一と言われる海が多すぎてなんとも言えないのですが、)その透明度は沖縄の離島の美しい海を越えるとも言われています。
輝く砂浜を取り囲むように連なる山々の緑と波打ち際から水色、青色、藍色となって東シナ海に広がる様は美しいの一言。
周囲を見渡しても人工的な建物が見えないないのも魅力で、浜の背後にはハマユウやサキシマフヨウの自生群があります。近くの展望所から見る景色も素晴らしく、沖に浮かぶ嵯峨島や水平線を真っ赤に染めながら落ちていく大きな夕陽は雄大です。
また、高浜海水浴場の背後を走る国道384号線は日本の道百選にも選定されている快適なドライブコース。自然をいっぱいに感じながらのドライブが楽しめます。
スタジオジブリ作品に多大な貢献
『山本二三美術館』が2018年にオープン
最新のトピックス。長崎県五島市出身のアニメーション映画・美術家 山本二三(やまもとにぞう)氏は、『天空の城ラピュタ』『火垂るの墓』『もののけ姫』『時をかける少女』等、画業約40年の間、数々の名作アニメーションで美術監督を務めてきました。
その山本二三氏の描いたアニメーションの背景画や、五島を描いたオリジナルの絵画を展示する美術館が五島列島の福江島に2018年7月にOPENしました。
建物は1863年(江戸時代)に建てられた武家屋敷「松園邸」(二三氏の学校の先生の生家)を改修し、五島の雄大な自然を見て育った山本二三氏の絵と、五島の歴史を感じられる美術館となっています。
写真撮影が許可された展示室が少ないので、見本写真をあまりのせれませんが、二三氏が携わった映画のシーン(水彩画がメイン)がテキストを添えて展示されています。
まだまだオープンしてまもない美術館ですので、どのような反響があるのかは未知数ですが、ジブラー薬剤師としては必ず行きたい美術館の1つになるかもしれませんね。
五島列島の島巡り
冒頭でも説明したように、五島列島には全部で140の島々が連なっています。
もし、薬剤師として五島列島のいずれかの島でで働くことを望むのであれば、「どの島が自分にとって魅力的なのか」、「自分に合う島はどの島か」と考えるかもしれません。行き当たりばったりで五島列島へ行き、そこで暮らしてみるのも、新しい発見がいっぱいで楽しいかもしれません。
こちらでは医療機関があり、薬剤師の募集が出る可能性のある5つの島「福江島」「奈留島」「中通島」「若松島」「小値賀島」の特徴をごく簡単にご紹介します。
遣唐使最後の寄港地『福江島(ふくえじま)』
福江島の面積326.43平方キロメートは五島列島最大、日本国内の島では11番目の面積。
江戸時代からのキリスト教禁教令廃止以降、五島列島で最初に建てられた聖堂である堂崎天主堂を含め、14か所のカトリック教会が存在します。
島の南東部には福江港があり、長崎市や五島列島各島を繋ぐ海上交通の中心地となっています。また南西には福江空港があり、福岡空港や長崎空港から空路を利用することができます(夏期のみ関西国際空港からの直行便を利用可能)。
後ほどご紹介しますが、この福江島は五島列島で最も医療機関が多く、五島列島の薬剤師の募集はこの島か上五島の中通島であるのがほとんど。長崎港や佐世保港からの便が多いこの島は生活に必要な物資はほとんど揃っているので、生活に困ることはほとんどなく、島ビギナーの薬剤師でも非常に働きやすい環境が揃っています。
白い貝殻砂の砂浜が多く、水質も良いので、美しい海水浴場も多い。前述にご紹介した高浜海水浴場があるのもこの福江島です。
荒井由実の「瞳を閉じて」が聞こえる 『奈留島(なるじま)』
奈留島「江上天主堂」
奈留島の江上天主堂とその周辺を含む江上集落は、「長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産」の12の構成遺産のうちの1つとして世界文化遺産に指定されています。五島列島で指定されている島は野崎島、頭ヶ島、久賀島とこの奈留島のみです。
ただ、それ以上に有名であるのが、松任谷由実さんが荒井由実時代に校歌として奈留高校へ送った『瞳を閉じて』という曲。
昭和49年に長崎県立五島高等学校の奈留分校(現・長崎県立奈留高等学校)の女子生徒が「奈留分校に合った校歌を作ってほしい」とラジオの深夜番組『オールナイトニッポン』のコーナーに投書し、そして荒井由実作詞・作曲による「瞳を閉じて」が贈られました。
この曲は卒業式はもとより、島民が島を離れる船の出港の際にも流されるなど、今も島全体の愛唱歌となっています。
なお、奈留島には五島中央病院の附属診療所である奈留医療センター(内科/精神科/小児科/外科/整形外科/皮膚科/泌尿器科/眼科/リハビリテーション科)があります。保険調剤薬局は奈留薬局のみです。
新上五島町の中心『中通島(なかどおりじま)』
中通島「頭ヶ島教会堂」
中通島の面積は約168.34平方キロメートで、五島列島の主要な島の中で最も東に位置し、福江島に次いで2番目に大きな島です。全島が長崎県南松浦郡新上五島町に属し、人口は 20,299人(平成22年度国勢調査)。
五島列島の他の島と同様に、江戸期に西彼杵半島の外海地区(現・長崎市)からキリスト教(カトリック)の信徒が迫害を逃れて移住してきた歴史があり、島内には29箇所のカトリック教会が点在しています。集落によっては住民のほぼ全員が信者でもあります。また、入り組んだ中通島の形は「十字架」に例えられることもあるほど。
歴史的に日本各地からの移住者が多いという特徴もあり、約400年前には漁民が多くやってきて、捕鯨業に従事していたといいます。1998年に国際捕鯨委員会(IWC)により商業捕鯨は全面禁止されて以降、捕鯨は調査目的に限定されていますが、かつての有川捕鯨産業の名残として島内のスーパーなどでは鯨肉が小売されており、鯨食文化は今なお根付いています。
中通島のある新上五島町は、若松島といったやや大きな島の他に、日島、有福島、頭ヶ島、漁生浦島、桐ノ小島の小さな島を加えた計7島の有人島で構成されています。この7つ全てが隣接した島と橋で繋がっており、車で移動することが可能です。世界文化遺産の「頭ヶ島天主堂」に行くには、中通島から陸路で頭ヶ島に行くことになります。
ちなみに、中通島は飛行機での本土との行き来はありません。実は上五島空港があるのですが、2011年に定期便廃止となり現在は休港状態です。
中通島は福江島についで医療機関が多く、五島列島の薬剤師求人の大部分を占めます。上五島病院のほか五島中央病院の附属診療所もあり、病院、薬局共に求人は常に存在します。
山々が連なる険しい地形『若松島(わかまつじま)』
若松島は五島列島では4番目に大きな島で、奈留島と中通島の間に位置します。人口は 1,709 人(平成22年度国勢調査)。
標高339.2mと200mを越える山々が連なる険しい地形で、北部の大平教会、南部の土井ノ浦教会がある他、明治期の迫害の際に信徒が隠れ住んだ「キリシタン洞窟」が今も残っています。
若松島には小さな診療所がいくつかありますが、保険薬局は1店舗のみです。
五島列島の北端に浮かぶ小さな島『小値賀島(おぢかじま)』
小値賀島は長崎県佐世保港から海上を西に約60km、佐世保からフェリーでおよそ3時間、高速船で1.5時間の船旅で到着する、人口2,600人ほどの小さな島です。
雄大で美しい独特の景観、海岸美から島全体が西海国立公園に指定されており、また、懐かしい日本の原風景が残る島として「日本で最も美しい村」にも選ばれています。
小値賀島には島唯一の薬局『くすりのリッチョ』が営業しています。現在、OTCや生活雑貨のみのお取り扱いですが、2019年年内に調剤を併設する予定となっており、薬剤師を1名募集しています(薬剤師2名体制)。処方箋の応需先は島の診療所で施設の調剤も受け入れ予定です。
この美しい日本の原風景が残る離島で地域医療に貢献してみませんか?(募集は終了していることがあります)
離島薬剤師が暮らす!五島列島での生活環境
大瀬崎灯台
離島に移住するにあたり最も気になるのが、この島で暮らしていけるのかということ。
島へ移住(I ターン)を希望するほとんどの人がいわゆる「都会」からやってくるので、いきなり島へ行きそこで生活するその不安は少なからずあると思います。
実際に薬剤師として島を訪れ、生活した経験をもとに、その他情報をまとめました。
1. まず、五島列島の「買い物」に関して。
食料品や日用品、家電などは一通り存在するので、特に困ることはありません。
五島市には、「丸八ストアー」や「つばき屋」といった五島ならではのスーパーマーケットや、少しだけ大きなショッピングモール五島シティモールなど30を超えるスーパーマーケットがあります。何かと便利なダイソー(100円均一)もここ五島シティモールにあります。大型ドラッグストアーは4ヶ所、コンビニエンスストア(ポプラが多い)も多くはないものの存在します。長崎との輸送の便が発達しているため、離島の割には加工食品などの物価が安く、とても暮らしやすいと思います。ただ、ガソリン代は少し高く感じます。
最近では日用品(家具なども含め)の全てをインターネット(amazonや楽天、ZOZOタウンなど)で購入できるため、欲しいものは全て手に入り、都会と変わりません。というより、島の人々はネット注文が非常に得意な気がします。
おしゃれなお店などは一切ない(そんなことはない?笑)ので、ウィンドウショッピングが好きな人には向かない島だと思います。(本当にないんですよー)
2. 続いて、五島列島の「食事」に関して。
五島列島にはモスバーガーやホットモット、ミスタードーナッツなど全国チェーンのお店も少しは見かけますが、ほとんどないと言っても良いと思います。リンガーハット(長崎チャンポン)ですらありませんので。
ただ、五島列島はとてもアットホームなお店が多く、近海の新鮮な魚を使った料理が非常に多いのが特徴です。
五島列島近海は対馬海流の影響で、全国屈指の好漁港として知られています。水イカの一夜干し、鬼鯖を使った鬼鯖寿司、地元産のカットッポ(ハコフグ)を使ったハコフグ料理があり、地元の島人を始めとして広く観光客の間でも親しまれています。
その他、五島うどん、五島牛、割烹から島人御用達のラーメン店「ラーメン敏」など、多くの五島列島グルメがあります。
五島は世界遺産となってまだ日が浅いので、観光客の増加とともに飲食店もどんどん増えてくると思われます。
3. 続いて、五島列島の人々の「人間性」に関して。
五島列島も他の離島と同様に移住者が多い島です。それでも全体的にみれば、五島出身者が大部分を占めています。
生粋の五島人の特徴をいくつかあげると、「人見知り」「世話好き」「新しいものを警戒する」「口が悪い」「愛情表現が苦手」「酒で打ち解ける」などこんなところでしょうか。沖縄の離島の人とはまた違う暖かさが五島の人々にはあります。
また、五島の一つ特徴的なのは、カトリック教徒が他の都道府県と比較して(人口あたりの信者数の割合では)ダントツに多いということです。教会の統計によると、信者数の割合は10%以上で、小さな集落単位では、ほぼ100%(=地区住民すべてカトリック信者)になる所もあるようです。
しかし、多いといってもその程度で、カトリック以外の(信仰心の強くない)仏教などの人の方が大多数です。
五島列島には全部で50の教会があり、島民の生活に根づいている様子がうかがえます。
したがって、五島に暮らす、ということは、そうした文化や歴史的背景を、理解、尊重する必要があります。
ちなみに旅行客もクリスチャンが多いです。私はクリスチャンでないのでよくわかりませんが、五島列島はクリスチャンなら誰もが一度は行きたい場所のようです。
4. その他、何がある?五島列島
その他、五島列島には温泉もあります!鬼岳の麓にある鬼岳温泉は地元の人たちも利用する天然温泉で、鉄分を含む赤褐色の湯に浸り、緑の鬼岳、青い空を眺めながらのんびりできます。
お祭りだってあります!福江港から歩いて10分ほどの場所にある五島市一番の繁華街「福江商店街」では7月の夜市、10月の福江みなと祭りの際にはたくさんの人で賑わいます。その他の祭りももちろんあります。
何より、海と山の大自然と歴史に彩られた西海国立公園に指定されています。空の広さ、美しい海!開放感が違います!
数ヶ月の派遣薬剤師形態では五島列島の良さ全てがわからないと思いますが、とりあえず一度旅行でもなんでも、まずは五島列島へ足を運んで欲しいと思います。五島列島は薬剤師など医療従事者が不足しています。是非一度いらして下さい。五島の良さがわかるはず!
五島列島移住者の声
五島列島へ移住した方々の感想を掲載しています。(「まるごとう」より引用抜粋一部改変)
- 景観はもちろんですが、自然からの恵みの水と地元の人の人柄がここに移住を決めたきっかけ。子供に寄りそった活動や行事が多いので地元の人達のつながりが強いと思います。地域には人知れず草払い浜そうじを積極的に実行されてる方をお見かけします。このような方々が地域を守ってこられたのだなと心温まります。(福江島への移住者)
- 奥浦地区は移住者にとっても住みやすい地域だと思います。自然の恵みを活かした生活をするには最高の場所だと思います。(福江島への移住者)
- あまり、気負わず、少しずつ地域の役割を手伝えるようになろうという気持ちで暮らして行けば、とても住み心地の良い所です。畑を借りるもよし、勤めに出るもよし、魚を釣るもよし、海をながめるだけでもよし。普通の毎日が充実すると思います。(福江島への移住者)
- 東京の飲み屋でたまたま出会った五島出身の人に「五島は本当にいいところだから、まずは来てみてごらん!」とすすめられました。気軽な気持ちで一度来てみたら五島市のおもしろい人をどんどん紹介してくれて、すごく楽しかったんです。気づけば、五島市に引っ越していました。(福江島への移住者)
五島列島へのアクセス
五島列島へ行くためには、飛行機、船のいずれかの方法となります。
飛行機で五島列島へ行く
福岡空港及び長崎空港から五島列島福江島の福江空港へ全日空空輸(ANA)もしくはオリエンタルエアブリッジ(ORG)が運航しています。離島以外の一般の人が利用すると料金はやや高めです。所要時間は以下の通りです。
- 福岡空港 →→→→ 福江空港(1日2便 / 40分)
- 長崎空港 →→→→ 福江空港(1日3便 / 30分)
航路で五島列島へ行く
長崎県の佐世保港と長崎港よりフェリーまたは高速船が、福岡県の博多港よりフェリーが出ています。便数は1〜4便ほどです。
またそれぞれの島同士でフェリーおよび高速船で連絡しています。特にフェリーの価格が安いので島民も旅行客でも人気です。のんびりとした船旅ができます。
- 長崎港 →→→→ 福江港
- 長崎港 →→→ 奈良尾港 →→→ 福江港
- 長崎港 →→→→→ 有川港
- 長崎港 →→→→→ 鯛ノ浦港
- 佐世保港 →→→→→ 福江港
- 佐世保港 →→→→→ 有川港
- 博多港 →→各島経由→→ 福江港
五島列島の医療機関(病院・薬局など)
五島列島の病院と薬局
長崎県五島中央病院附属診療所 奈良尾医療センター
五島列島には現在 53の病院・診療所、28の歯科医院、31の調剤薬局があります。(令和2年1月1日時点)
その中には、304床で16の外来診療科目(内科、外科、整形外科、小児科、精神科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線科など)を受ける五島列島の中では比較的大型な医療施設「県立五島中央病院」が五島市福江島に、
186床(一般病床132床、地域包括ケア病床36床、医療療養型病床14床、感染病床4床)で18の外来診療科目(内科 精神科 神経内科 小児科 外科 整形外科 皮膚科 泌尿器科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 リハビリテーション科 放射線科 呼吸器内科 脳神経外科 循環器内科 消化器内科 腎臓内科)を受ける「県立上五島病院」が新上五島町の中通島にあります。
五島市全域をカバーする中核病院であるの長崎県五島中央病院は地上5階建ての建物に病床数304床を擁し、洋上救急にも対応するなど離島の医療施設として地域の医療を支えています。
五島中央病院からは毎月およそ7,100枚(1日200〜250枚)ほどの処方箋が院外処方箋として発行されていますが、病院内薬局の人員不足のため、継続して院外処方箋発行率の向上に努めています。時期にもよりますが、薬剤師6名、調剤助手4名が働いております。
なお、五島中央病院の門前薬局はヒュ―レックス株式会社運営の「あおぞら薬局」と株式会社ニック運営の「ニック調剤薬局ごとう店」です。
一方で上五島病院は、長崎県五島列島北部、中通島のほぼ中央に位置する長崎県病院企業団に属する総合病院です。平成16年8月1日上五島地域5町合併とともに、病院施設リニューアルされました。「へき地拠点病院」「災害拠点病院」「救急医療病院」「がん診療離島中核病院」「感染症指定医療機関」に指定されています。
上五島病院の薬局部門は、薬剤師3名、助手4名で運営されていますが、外来についてはそのほとんどが院外処方を利用しており、薬局では入院患者さんの処方、注射、服薬指導、抗がん剤の調整、病棟薬剤管理などが主な業務となります。
なお、上五島病院の門前薬局は「おおかた調剤薬局」、「大洋堂薬局」そして、大手薬局チェーンである総合メディカル株式会社運営の「そうごう薬局上五島店」です。
現在、五島列島のの大手調剤薬局はそうごうメディカル株式会社のみで五島列島には2店舗運営されています。その他、ほとんどの薬局は1店舗から数店舗経営の俗に言うパパママ薬局です。
また、五島列島の高齢者率は 3.6割と全国平均を上回っております。人口の減少率も高く、勤務女性薬剤師に人気である「小児科」を専門とするクリニックは比較的少な目です。
島の調剤薬局はのんびりした雰囲気なのかと思われますが、決してそんなことはありません。薬局の営業時間や、人員体制、処方箋応需枚数にもよりますが、都市部の薬局と同様に忙しい薬局もあれば、比較的のんびりした薬局もあります。
もし、五島列島で薬剤師として働くことを検討しており、様々な診療科の処方箋を取り扱いのであれば、病院やその門前薬局で働くことを希望すれば良いし、そこまでバリバリ働くことを希望しないのであれば、1人あたりの処方箋枚数の少ないようなゆとりある薬局を選択することも可能です。
参考情報として、以下に五島列島で営業している薬局と近隣の医療機関を示します。
離島薬剤師の年収・待遇など in 五島列島
給与水準 :★ ★ ★ ★ ★
福利厚生・待遇 :★ ★ ★ ★ ★
さて、気になる五島列島の薬剤師求人件数や給与面ですが、他の同規模の離島と比較して薬剤師求人件数は同等ですが、給与ベースはやや高めといったところでしょう。
”やや高め” と言っても、都会の便利な地域と比較すると、もちろんかなり高めに設定されています。ただ、他の極地的な離島と異なり、五島列島は長崎や佐世保から高速船で1時間30〜50分、飛行機では長崎空港や福岡空港から30〜40分と比較的交通手段に不便がなく、九州出身の薬剤師もそこそこ集めることができるため、著しく給与ベースは高くはないようです。
経験や人柄、そしてその薬局の忙しさ、売り上げ、特に営業時間にもよって変化しますが、30〜40歳程度の一般薬剤師でおよそ年収600万〜700万円程度(残業代別途支給)。薬局によっては最高で年収800万円を提示する薬局もあります。年間休日日数125日以上で780万円以上を提示する薬局も出てきていますので、やはり都会の給与ベースと比較すると高めです。
派遣薬剤師での募集も行っている時もあります。時給2500円〜3300円程度で募集されていることが多いようです。
しかし、この額面は交渉次第で、コンサルタントの仲介により金額の上乗せは可能です。大幅な上昇は困難ですが、転職支援会社の仲介と交渉により、正社員で年棒十万円から数十万円程度、派遣薬剤師で時給100円〜500円程度は検討してくれる場合が多いです。
福利厚生ですが、住宅手当はもちろんのこと、島内使用車の貸与してくれる薬局や、転居にかかる費用を負担してくれる薬局など、福利厚生面は他の離島と同様に充実していると言えます。
産休や育休制度を取り入れている薬局や病院もあり、出産を考えている女性薬剤師や、幼い子供をもつ薬剤師にも安心して暮らすことができます。
薬剤師求人サイト15 社を対象に、五島列島の医療機関(病院・薬局)における薬剤師の募集を検索したところ、いくつかの薬局で募集がありましたが、求人の掲載があるものの、実際には募集が終わっている薬局(企業)もありました。(当編集部 調べ)
インターネット上のサイトには、既に募集が終わっているものや、人材は欲しいが特定の人材紹介会社もしくは地元の求人紙にしか求人を出していない医療機関もあります。また、「非公開求人」という薬局側や転職支援会社側双方の様々な理由から、求人サイト上に掲載されていない求人も多くあります。
したがって、離島を対象に薬剤師の求人を探すのであれば、優良な薬剤師転職支援会社のキャリアコンサルタントから情報を得ることが大切です。
特に、「離島」を対象とした転職活動においては、通常の給与・待遇などの額面交渉に加え、遠隔地での面接や採用となった場合の転居や保険薬剤師の移動届けなど少し特殊な事情が混ざってくるため、離島転職ならではの包括的なコンサルティング能力が必要不可欠です。
つまり、離島へ転職される皆さんは、離島転職の流れを熟知し、経験豊富な転職支援会社を利用する必要があります。
( )内は診療科を示しています
<五島市>
>福江島
株式会社 福江薬局 濠前店
門前:井上内科小児科医院(内 小)
株式会社 福江薬局
門前:郡家病院(外 内 整外 脳外 皮)
尼忠薬局 末広店
門前:郡家病院
壮快堂薬局
近隣:郡家病院、山本皮膚科医院(皮)
侑徳薬局
門前:虎島医院(内 皮)
中村調剤薬局
門前:五島ふれあい診療所(内 外 リハ)
あおぞら薬局
門前:五島中央病院(内 精 神内 小 外 整外 脳外 皮 ひ 産婦 眼 耳い 放 リハ 循 消)
ニック調剤薬局ごとう店
門前:五島中央病院
有限会社 あい調剤薬局南町店
門前:南町脳神経外科クリニック(脳外 リハ)
ニック調剤薬局木場店
門前:みどりが丘クリニック(内 消 小 放)
中村調剤薬局 吉久木店
門前:久保循環器内科(内 循)
株式会社 福江薬局吉久木店
門前:久保循環器内科
株式会社 福江薬局松山店
門前:聖マリア病院(内 小 呼 消 リハ)
ゆうとく薬局 大荒店
門前:福江産婦人科医院(産 婦)
株式会社 エハラ薬局
富江薬局
桜町調剤薬局 三井楽店
門前:五島市国民健康保険三井楽診療所(内 外 小)
有限会社 あい調剤薬局
門前:富江病院(内 小 外 整外 眼 リハ)
>奈留島
奈留薬局
門前:長崎県五島中央病院附属診療所 奈留医療センター(内 小 外 整外 皮 ひ 眼 精 リハ)
<南松浦郡新上五島町>
>中通島
有限会社 鈴木薬局
門前:浜崎医院(内 皮)
あおかた調剤薬局
門前:上五島病院(内 精 経内 小 外 整外 皮 ひ 産婦 眼 耳い リハ 放 呼内 脳外 循環器内科 消化器内科 腎臓内科)
大洋堂薬局
近隣:上五島病院
そうごう薬局 上五島店
門前:上五島病院
有限会社 国丸薬局
ありかわ調剤薬局
門前:長崎県五島中央病院附属診療所 有川医療センター(内 小 外 整外 リハ)
松村らんらん薬局
門前:長崎県五島中央病院附属診療所 奈良尾医療センター(内 小 外 整外 眼 リハ)
株式会社マスヤ薬局
門前:長崎県五島中央病院附属診療所 奈良尾医療センター
うおのめ薬局
門前:新上五島町役場 榎津診療所(内 外 小)
いしばし薬局
>若松島
有限会社 わかまつ薬局
>小値賀島
おぢか薬局
九州厚生局のデータを参照しています(H30.6.1)