離島薬剤師が離島で働くメリットとデメリットを考えてみた

本列島には実に個性的で魅力がいっぱいの大小さまざまな島々が存在します。

海上保安庁の報告によりますと、現在日本には6,852もの島が存在しているという。

しかし、実際に人々が暮らしている有人島は418と非常に少なく、そのなかでも医療機関が存在する離島はごくわずかです。(* 国土交通省の発表した平成27年の資料に基づく)

離島といえば、人によっては何もすることがないと感じたり、色々と不便に思うことも多いかもしれません。

しかし、ひとたび離島に興味を持ち、そして実際に移住した人々の多くはそれらを含めて離島を好きになっています。

また、離島は高齢者が多く、活気がないというイメージがある方もいると思われますが、実は若い世代を中心に離島へ移住する方がとても多く、毎年人口が増加している島だってあります。

 

都会の薬剤師が離島へ行く理由

たち薬剤師が離島に移住している理由はいったい何でしょうか?

今回、正社員もしくは派遣社員として離島へ行かれた薬剤師を対象に、離島にきた理由を質問したところ以下の返答をいただきました。(一部改変)

薬剤師が離島へ来た理由

  • 都会の人混みに疲れてしまった。自然に囲まれた場所で、都会の喧騒を忘れて暮らしたいと思った。(30代男性薬剤師)
  • 旅行(もしくは旅)で離島へ行った際に『ここで暮らしたい』と感じたため。(40代女性薬剤師)
  • スキューバダイビングなどをはじめマリンスポーツが好きで、すぐに遊びに行ける環境にいたかったから。(30代男性薬剤師)
  • 海外旅行が好きなので、一気にお金を貯めて海外に飛び出したい。(20代女性薬剤師)
  • すべての離島をコンプリートする流しの薬剤師になりたい。(30代男性薬剤師)
  • 大好きだった人に彼女ができ、今度結婚することを知った。島に行くしかないと思った。(30代女性薬剤師)

 

薬剤師が離島へ働きに行く理由は実に様々ですが、主に薬剤師の仕事には関係のない理由が大半を占めています。

すなわち、離島に興味を持った大部分の薬剤師は仕事以外の私生活において離島に惹きつけられていると言えます。

 

一方で、かなり期待を込めて薬剤師として離島へ行ってみたら、「期待していたものとなんか違った」という薬剤師も中にはいらっしゃいます。

離島へ行き「こんなはずじゃなかった」という事態に陥らないためにも、実際に離島で働いた薬剤師が感じた離島薬剤師の「良かったところ」と逆に「悪かったところ」をいくつか抜粋してご紹介します。

 

薬剤師が離島で働くメリット

離島ではストレスフルな満員電車に乗らなくて良い

“早朝に家を出て、通勤ラッシュでギュウギュウ詰めの満員電車に乗り、1日中忙しく仕事をして、また帰宅ラッシュの満員電車に乗り、ヘトヘトになりながら夜遅く家に帰る。” そんなハードな通勤生活にはもう戻れないと東京から離島へ移住した薬剤師は言う。

沖縄本島を除く離島には鉄道は通っていません。徒歩や自転車もしくは車でストレスフリーの通勤ができるのは離島薬剤師の魅力の一つです。

ただ、運転が多くなるゆえに、インドアな薬剤師は運動不足に悩まされることが多いようです。

*沖縄本島の那覇市内にはモノレールが運行されておりますが、都会と異なり非常に空いています。

 

離島薬剤師は給料が高く、お金が貯まりやすい

離島は人材を確保するために、給料ベースが都心より高くなる傾向にあります。また、住宅手当を支給する薬局が多く、その分お金に困らない生活を送ることができます。

いち早くマイホームを購入したい人や、大学時に借りていた奨学金を一気に返済したい方、一気にお金を貯めて海外へ放浪したい方など離島は薬剤師が注目すべき勤務場所となっています。

 

離島ならではの地元住民との交流

多くの人が集まる都会と違い、離島はコミュニティが小さく、近所の人と人が助け合って生活しています。様々な分野で働く患者さんと顔なじみになり、採れたての野菜を分けてもらったり、船を出してもらったりと都会では味わえない交流があります。

「小さな島なので、だいたい保険証を確認すれば誰がどこで働いているのかわかりますから、話の切り口にもなりますね。(30代薬剤師男性)」

また、観光地化されている離島においては、さまざまな地域からやってきた観光客との交流も離島ならではの楽しみの一つです。

 

見上げれば今まで見たこともない満点の星空がある

多くの離島では、街を外れれば美しい星空が広がっています。

特に、石垣島を中心とした八重山諸島は日本列島の上空を流れる「ジェット気流」から外れているため、大気の揺らぎが非常に少なく、星の光が地上まで届きやすくなります(星が瞬いていないので光が強く見えます)。すなわち、本土では見ることのできない星が八重山諸島の離島では見ることができるため、通常より何百倍、何千倍もの星があるように見えます。特に、新月の夜や月が出ていない夜間では、白〜赤色や緑色の「天の川」が浮き上がり、同時に多くの流れ星を見ることができます。

普段見えない多くの光が届くせいか、未確認飛行物体(UFO)の報告が多いのも特徴ですが、そのほとんどは飛行する人工衛星であることが多いようです。

 

都会では味わえない離島の休日

観光地やリゾートなどで有名な離島へ行った薬剤師の意見で多いのがこちらです。同じように離島へ移住してきた仲間とシュノーケリングやダイビングを楽しんだり、周辺の離島へアイランドホッピングをしたりと仕事中も休日の予定の話題が尽きないと言います。

また、沖縄の離島のマリンショップやレストランでは、離島に住民票に持つと得られる割引「島人(しまんちゅ)割」という特典を受けれることがあります。ちなみにスキューバダイビングは通常料金の半額〜8割程度の金額でダイビングが楽しめてしまいます。

 

患者からのクレームがない

仕事上のストレスの1つに患者からの理不尽なクレームがあります。

「薬はまだできないのか」
「薬知ってるから説明いらない」
「この薬学管理料いらない」

薬剤師の経験を重ねるとそんなクレームは気にならなくなるとは言いますが、それでも少しは耳に触るのは当たり前でしょう。

なぜか離島の人々は優しいのかあまり薬の事を知らないのか、クレームを言われることは滅多にありませんし、こちらの説明をよく聞いてくれます。患者さんに早く治って欲しいと強く思えますね。

 

異性との出会いが自然と多くなる

離島へ来た薬剤師の異色の意見がこちら。

「島に来てすぐ彼氏ができました。」(30代女性)
「地元の医療事務の方とお付き合いをしています。」(30代男性)

離島へ行く人は薬剤師を含め非常に行動力があり、誰にでも打ち解けやすく社交的な印象があります。出会う場所はごく普通の山道やカフェ、居酒屋、ダイビングショップ、職場などいろいろ。お互い急に狭いコミュニティに来るので自然と話しやすくなり、その結果お付き合いにも発展して行くこともあるようです。

 


いくつか離島の魅力を紹介させていただきましたが、これらはほんの一部の魅力に過ぎません

休日は美しい海を一面に見ながらヨガ(yoga)を楽しんでいる人もいれば、小型船舶免許を取ってしまった薬剤師の方もいます。そのほか、普段気づかなかった日本の素晴らしさを再確認させられたなんて意見もありました。

ゴロんっとうたた寝をするだけでも、それは都心で感じる気持ち良さとぜんぜん違うという人もいます。

百聞は一見に如かずという考えのもと、実際に離島へ赴き生活することで、離島の本当の魅力に気づかされるかもしれません。

 

こんなはずじゃ…離島薬剤師

離島の魅力の一部を紹介してきましたが、離島へ行って失敗したなと思った薬剤師も中にはいらっしゃいます。

「離島はパラダイスだ!」と思い込まずに、一度離島へ行く本当の目的を再確認してください。

離島で勤務経験のある薬剤師の「離島へ行って感じたこと」「ここが失敗したと思うこと」など、経験談をご紹介します。

 

とにかく何もなさすぎて飽きる

都会の頃は当たり前のようにあったものが、離島にはないこともあります。地上100メートルにあるおしゃれなラウンジや高級ブランドショップが並ぶストリートは離島にはもちろんありません。映画館もありません。

特に大都会からものすごい田舎の離島へ転居した薬剤師、アウトドアやマリンスポーツが好きでなかったり、大自然が好きでない薬剤師は、すぐに飽きて2、3年以内に内地へ帰っていくようです。

コンビニも住む地域によっては近くになかったり、そもそも島に存在していないこともあります。島では都会にあった常識が通用しません。

 

離島は雨が多く、洗濯物が乾かない

沖縄本島から先島諸島にわたる南国の離島では、降水量が他の地域と比較して著しく多いです。大型の台風も通過することが非常に多く、たびたび小さな洪水に見舞われる島もあります。

確かにスコールが多いので、洗濯物に影響がありますが、沖縄地方の多くの賃貸マンションは乾燥機がデフォルトで設置されている場合が多いので心配しすぎる必要はありません。

また、大きな台風がくる予報が出た際には、コンビニやスーパーから加工食品がなくなります。これは離島に物資を運ぶ船舶が運休するためです。暴風警報が出た際は、診療所・クリニックも休診になることがあります。その際、ほとんどの薬局では公休扱いとなるので、ちょっぴり得した気分ですね。

 

結婚式での出費が多い

高校や大学の友人の結婚式で内地へ帰る際の交通費に嘆く薬剤師が時々いらっしゃいます。

しかし、近年では格安航空会社(LCC)が全国で就航されており、2018年の7月には石垣島ー新東京国際空港間でバニラエアが就航します。うまく利用すれば石垣ー東京間も1万円程度で往復できてしまいます。

余談ですが、沖縄の結婚式でのお祝儀の金額は1万円が相場です。そのため披露宴での食事などは控えめですが、会場はものすごく大人数なので盛り上がりますよ。

 

見たこともない謎の虫が多い

沖縄本島から先島諸島にわたる南国の離島では、内地では見られない多様な生物が存在します。南国で働くためには、虫の数だけは覚悟しなければならないようです。

「足のサイズくらいのナメクジを見ました。(30代薬剤師女性)」
「ヤモリが部屋にいても気にならなくなりました。(40代薬剤師男性)」

また、南のゴ◯ブリは大きいと耳にしますが、噂通りのまあまあのサイズです。

内地のゴキ◯リと比較して動きは遅いのですが、なぜか気軽に飛んできます。しかし、繁華街の飲食店近くの屋外で見かけることが多いですが、住居内で見かけることはほとんどないようです。

 

金属製品が錆びやすい

離島は海に囲まれている関係で、潮風による金属製品の錆びによる劣化が激しいようです。

エアコンの室外機や、郵便ポスト、ドアノブなどあらゆる金属が錆びだらけ。

車もサビ止め処置を施していないと、サビの被害にあいます。島の使用車として軽自動車を20万程度で購入し、数年で乗り捨てたり、月極契約のレンタカーを利用する薬剤師もいらっしゃいます。

薬局によっては島内使用車を貸与してくれる場合が多いので気にしすぎる必要はありません。

 

薬局内でやたら段ボールを開ける作業が多い

お薬の納品作業といえば、卸業者の配送担当の方が小さいコンテナに医薬品を集めて、それを薬局に持ってきて、検品しながら納品するというのが一般的な流れであると思います。

しかし、卸業者の営業所が各離島にあるということはほとんどなく、多くの場合、医薬品はたくさんの緩衝材とともに段ボールに詰められ、船または航空機で輸送され、委託された島内の配送業者が薬局にそれらを運んできます。

一つの段ボールには1:9の割合で医薬品:緩衝材がはいっていることもあり、小さな薬局においても一日十数個の段ボールを開封することも珍しくありません。島を出る頃にはカッター捌きは一流となっているでしょう。

 

島を出るという決意

島へやって来ると、自然と気が合う友人が増えていきますが、人によっては、故郷へどうしても帰らなければならない時がやって来ます。

長く時間を共にして来た友人との別れはとても悲しく思いますが、そこまで深く感じる必要ははありません。

なぜなら、すでに島人のあなたは再び島に帰る場所があるからです。

 

 


以上、離島へ行くメリットやデメリット双方の意見を一部ご紹介させていただきましたが、デメリットばかりを気にしすぎて、離島へ行こうと思ったせっかくの機会を逃しては非常にもったいないと思います。

数多くある個性豊かな島の中から、自分に合った離島を選び、その島で生活する自分の姿を思い描いてみましょう。きっと、暗い檻から解放されて、ストレスなく自由に生きている自分の姿があるはずです。

「今まで何かと便利な都会で暮らしてきたけど、急に離島でやっていけるだろうか・・・」

そんな不安がある方は「派遣薬剤師」として、試しに数ヶ月間離島へ行ってみるのも良いかもしれません。実際にその島で暮らすことで、その島の魅力に気づかされることでしょう。

「一度きりの人生と、手に入れた『薬剤師』という資格を最大限に利用して、みなさんも離島で暮らしてみませんか?」

(written by 離島で暮らす薬剤師)

 

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