薬剤師が結婚や離婚などをして氏名変更した場合、「薬剤師法施行令第5条第1項」により「薬剤師名簿の訂正」の申請をしなければなりません。
また、「薬剤師法施行令第8条第1項」により「薬剤師免許証の書換交付」の申請をすることができます(こちらは法的な義務はありません)。
さらに、保険調剤薬局や調剤併設ドラッグストアーなどで勤務している場合には、上の薬剤師名簿の訂正の届出手続きに加え、「保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令第16条第1項、17条」により「保険医・保険薬剤師の氏名変更の届出」の届出手続きが必要となります。
ちなみに、結婚や離婚などにより、姓は変更したが「薬剤師としては旧姓を使用したい場合」においてもこれらの届出を提出しなければならないので忘れずに行いましょう。
- 薬剤師名簿の訂正(←薬剤師名簿氏名の変更)
- 薬剤師免許証の書換交付(←薬剤師免許証の氏名の変更)
- 保険医・保険薬剤師の氏名変更の届出(←保険薬剤師登録の氏名の変更)
この記事ではそれらの手続き・届出の方法をまとめています。必要添付書類の戸籍抄本の取得に時間を要する場合があるので、なるべく早く準備したほうが賢明です。
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Contents
1. 『薬剤師名簿』の氏名の変更届出手続き
薬剤師名簿登録事項(本籍地都道府県名(日本国籍を有しない者は国籍)、氏名、生年月日、性別)に変更があった場合に行う手続きです。
手続きに必要な書類
- 薬剤師名簿訂正申請書
*薬剤師免許の申請手続き等について(申請名:薬剤師名簿の訂正)よりダウンロードできます。 - 戸籍謄本または戸籍抄本(発行日から6月以内のもの)どちらでも構いません
*保険薬剤師登録の申請も行う場合、別に戸籍抄本が必要になります。必要な場合は合わせて取得したほうが良いでしょう。 - 収入印紙1,000円 *郵便局やコンビニエンスストアで購入することができます。(収入証紙ではないので注意)
- 印鑑(提出時に捨印を押すよう依頼されることもあるため)
そのほか、提出する必要はありませんが、「登録の年月日」「薬剤師名簿登録番号」を薬剤師名簿訂正申請書に記載する必要がありますので、薬剤師免許証が必要となります。
「戸籍謄本」とは戸籍に貼っている全員分の写し。「戸籍抄本」は戸籍の一部の人(通常一人分)の写し。薬剤師名簿は個人を証明するものであるので、戸籍抄本で問題ありません。
取得するには現在3つの方法があります。
- 市区町村の役場(受付時間に注意)
- 役場から郵送(取得までに時間がかかります)
- コンビニのマルチコピー機(マイナンバーカードが必要)
届出手続きの流れ
薬剤師名簿訂正申請書に必要事項を記載し、収入印紙を貼付する
↓
戸籍謄本または戸籍抄本を取得
↓
住所地の保健所(取り扱っていない地域は都道府県庁)に提出
*提出先は 都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧(外部リンク)を参照
薬剤師名簿訂正申請書の記入例
提出期限
申請期限は、薬剤師名簿の登録事項に変更が生じたときから、30日以内となります。
戸籍変更後、30日を超過した場合は「遅延理由書」も添付する必要があります。こちらでもダウンロードできますが、窓口にもあります。
2. 『薬剤師免許証』の氏名変更の届出手続き
薬剤師は免許証の記載事項に変更があった場合、免許証の書換え交付を申請することができます。
こちらは、法的な義務ではありませんが、転職の際などに必要な書類となってくるので、「薬剤師名簿の訂正申請」と一緒に申請するのが基本です。
氏名変更の届出手続きに必要な書類
- 薬剤師免許証書換交付申請書
*薬剤師免許の申請手続き等について(申請名:薬剤師免許証の書換交付)よりダウンロードできます。 - 戸籍謄本又は抄本(発行日から6月以内のもの)
*薬剤師名簿の訂正申請と同時に申請する場合は、戸籍の謄本又は抄本は2申請分を1通の添付で問題ありません。 - 収入印紙(2,750円)
- 薬剤師免許証原本(返還されないのでコピーを取っておくことをお勧めします)
- 登録済証明書用ハガキ(表面に本人の宛先、裏面は氏名のみ記入し、切手を貼ったもの)
*登録済証明書用ハガキには62円分の切手を貼付します。また、速達を希望する場合は342円分の切手を貼付し、「速達」と明記します。
*5. は会社などの都合ですぐに必要な場合にのみ添付します。特に必要がなければ、添付する必要はありません。 - 印鑑(提出時に捨印を押すよう依頼されることもあるため)
氏名変更の届出手続きの流れ
「薬剤師免許証書換交付申請書に必要事項を記載し、収入印紙を貼付する
↓
戸籍謄本または戸籍抄本を取得
↓
上記すべての書類を用意し、住所地の保健所(取り扱っていない地域は都道府県庁)に提出
*提出先は 都道府県別薬剤師免許申請受付窓口一覧(外部リンク)を参照
薬剤師免許証書換交付申請書の記入例
薬剤師免許書換交付申請書の様式が2019年の6月1日より少し変更されています。
内容としては、「4. 旧姓併記の有無。(有の場合は希望する旧姓) 有・無」という項目が追加されました。「有・無」いずれかに丸をし、有の場合は旧姓を記入してください。
提出期限
申請義務はないので、提出期限はありません。
3. 『保険薬剤師登録』の氏名変更の届出手続き
保険薬剤師の氏名等に変更があった場合には、地方厚生(支)局長に変更の届出手続きを行います。
氏名変更の届出手続きに必要な書類
- 保険医・保険薬剤師の氏名変更届(各都道府県管轄の厚生局webサイトよりダウンロードができます。記事の最後に各都道府県管轄厚生局のリンクがあります)
- 保険医又は保険薬剤師の登録票
*登録票の添付により、氏名変更に伴う登録票の書換申請があったものと見なして、当該登録票の書換を行います。 - 戸籍抄本
- 印鑑(提出時に捨印を押すよう依頼されることもあるため)
氏名変更の届出手続きの流れ
保険医・保険薬剤師の氏名変更届に必要事項を記載する
↓
戸籍謄本または戸籍抄本を取得する
↓
保険薬剤師の登録を行った都道府県を管轄する地方厚生局事務所に提出する。郵送でもOK。
例えば、沖縄県で登録したのであれば、九州厚生局の「沖縄事務所」に提出するということになります。
保険医・保険薬剤師の氏名変更届の記入例
各厚生局によって様式は異なりますが、基本的には同じです。下記の記入例は関東信越厚生局の様式です。
北海道厚生局の様式では下記の他に勤務する薬局の「薬局コード」を記入する必要があります。
また、従事する保険医療機関がない場合、名称および所在地は記入する必要はありません。
提出期限
氏名の変更等の事由が生じた場合には、速やかに届出
各都道府県管轄の厚生局一覧
管轄の厚生局に対応する都道府県は以下のようになります。申請に必要な書類は以下のリンク先よりダウンロードできます。
北海道厚生局
北海道
東北厚生局
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東信越厚生局
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
東海北陸厚生局
富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿厚生局
福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国四国厚生局
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国厚生局
徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州厚生局
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
追記 – 薬剤師免許証 旧姓の併記について –
厚生労働省は旧姓を用いる女性薬剤師らに配慮したい考えから、薬剤師法施行規則の一部を改正し、薬剤師免許証に現在の姓と旧姓の併記を可能とする省令案をまとめています。
これにより、薬剤師免許の申請書において、旧姓併記希望の有無や旧姓記入欄が設けられることとなりました。
なお、2019年3月1日の施行を予定しておりましたが、2019年の6月1日となる模様です。
既に薬剤師免許証を取得している場合においても、旧姓表記に変更することが可能で、希望される場合は「薬剤師免許証書換交付申請書」の旧姓併記の有無の項目を記載して、住所地の保健所に提出することとなります。