この記事では沖縄に移住した薬剤師・沖縄出身の薬剤師が「沖縄はどんなところか」「薬剤師として沖縄で働く前に知るべきことは何か」「県外の人でもウチナー薬剤師として暮らしていけるのか」「沖縄の薬局の給料はどのくらいか」などなど沖縄独自の事情を交えてご紹介します。
どこにも情報がない少しマニアックなことまで書いています。
あまり時間のない方は目次から知りたい項目へジャンプしてください。その他のコンテンツは時間の余裕がある時にゆっくり読んでいただけたら幸いです。
薬剤師のみなさん!沖縄に移住しませんか?(お1人でも、友達とでも、家族とでも!)
日本列島南の楽園『沖縄』の魅力
沖縄ってどんなところ?サクッとおさらい
一年中温暖な亜熱帯の気候と限りなく透明に近い澄みきった海、島々を覆う豊かな常緑の森、可憐な花々、いまにも手に届きそうな星空、そして格別のリラクゼーション……。
沖縄は忙しい日常を忘れさせてくれる豊かな自然にあふれています。
沖縄県の面積は2,281平方キロメートルと香川県、大阪府、東京都に次ぐ大きさ。人が住む地域は、沖縄本島とそのほか48の島で、沖縄にある363の島の多くは無人島となっています。
沖縄といえば太平洋戦争では唯一の地上戦が行われた辛い歴史を持つ地域で、6月23日は慰霊の日として沖縄県の休日となっています。
戦後およそ27年間アメリカに占領されていましたが、1972年(昭和47年)に日本に返還されました。しかし、現在も沖縄には日本全体のアメリカ軍専用施設の約70%が集中し、沖縄本島の約15%を占めています。
総務省統計局の調査によると、沖縄県の人口増加率は東京都、埼玉県についで第3位の都道府県です。(平成29年総務省統計局データ)
のんびりストレスフリー、美しい自然と共に暮らす、人類仲良く皆兄弟志向の薬剤師に大人気の地域。(少し言い過ぎですか?)
地域別で見ると沖縄本島の中部と南部で増加し、移住先として人気のある石垣島(八重山諸島)を除けば、沖縄本島北部と離島の大部分で減少しています。
やはり、生活ともなると、便利な沖縄本島の都市部(那覇・浦添近郊)や年々発展が著しい石垣島に人口は集中するようです。
(ただ、当編集部の考えでは、宮古列島の島々の人口も今後巻き返して行くのではないかと予想しています。)
最後に一つ。沖縄県は文化や風習、人名、方言、産業構造など主要四島のそれとは大きく異なります。「がんばれ」は「チバリヨ」、「なんとかなる」は「ナンクルナイサ」などは聞いたことがあるかもしれません。
沖縄で生活する中で最も耳にするのが、沖縄県外のことを「内地(ナイチ)」、そこに住む人を「ナイチャー」もしくは「ヤマトンチュ」と呼ぶことです。一方で、沖縄は「ウチナー」、沖縄に住む人のことを「ウチナーンチュ」と呼びます。当記事でも、以降そのように使い分けています。
沖縄に移住して数週間もすれば、誰でも「ナイチ」「ナイチャー」と当たり前のように使うようになりますよ。
「沖縄は暑すぎる」という考えは大間違い
『アダンの実』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
日本の南に位置する沖縄は、世間一般では、ものすごく暑いと考えられていると思います。
確かに沖縄は暑い。しかし、沖縄の夏場の平均気温は31〜32度程度で、内地のように40度近くまで上がることは滅多にありません。
よく夏場にテレビのニュース番組で「埼玉で40度」「熱射病で搬送」「連日の猛暑日(気温35度以上)」などと報道されていますが、沖縄内のニュースではほとんど見かけることはありません。意外ですよね。
確かに日差しは強く感じることもありますが、沖縄は海洋性気候のため、都会のように熱がこもることはなく、海風が吹き払ってくれます。
したがって、都会のような激しい熱帯夜はなく、人によってはエアコンなどをつけずに扇風機のみで過ごす人も結構多いです。
冬は全国の天気予報で見るように、沖縄の気温はものすごく下がることはなく、下がっても10度程度。
しかし、沖縄へ来たばかりの内地出身者は沖縄の寒さに驚く人が意外と多いです。これは沖縄は年中あったかいという想像が行き過ぎているためだと考えられます。
ただ、いくら寒いと言っても、長袖やジャケットを着れば十分過ごせる気候です。沖縄へ移住したナイチャー薬剤師のほとんどは暖房を求めますが、逆に慣れているウチナー薬剤師は暖房なしで過ごす人も多いんです。
沖縄の夏と冬の気温差は20度ほど。東京などの内地では30度以上も年間の気温差があるほどなので、いかに沖縄が過ごしやすい気候かがわかります。
沖縄は暑いというより、「一年中温暖」というのが正しい表現と言えますね。
沖縄のウチナータイムに御用心
『ウチナー猫@川平湾』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
沖縄にはウチナータイムというものが存在します。
直訳すると沖縄時間ということなんですが、すなわち沖縄の人は時間に非常にルーズってことです。
飲み会でも仕事でも5分や10分遅れるのは日常茶飯事。また、遅れたからといって咎められることもあまりありません。
何より普段腕時計をつけている人が非常に少ないのが沖縄の特徴。
さらに、市内を運行する公共バスも平気で遅れることが多いんです。東南アジアの感覚のそれと近いものを感じてしまうかもしれません。
最初はどんなナイチャーも、このウチナーンチュのテキトー加減には驚かされ、時にはイライラするとは思いますが、次第にこの感覚に慣れていき、いつの間にか自分自身も同じようになっていくでしょう。
分秒単位で生活する都会の生活も時間を有効に活用できて良いかもしれませんが、その代わり、「人生」という長い時間を売り飛ばして生きているのかもしれません。
このウチナータイムという習慣が良いと思うか悪いと思うかは人それぞれだと思いますが、時間に縛られないストレスフリーな生活もなかなか良いものですよ。
とりあえず家賃は安い!が・・・
『竹富島』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
総務省が行なった平成28年全国物件統計調査によると、都道府県別の物価水準でもっとも高いのは東京都で、逆にもっとも低いのは沖縄県です。
特に沖縄県の民営賃貸アパート・マンション家賃では、東京と沖縄の水準の差に実に3倍開きがあるほどです。
沖縄では地域的な理由からほとんどのアパート・マンションが鉄筋コンクリート製となっていますが(鉄筋コンクリート住宅95%、木造4%、その他1%)、そんな頑丈なつくりでも那覇市内1DK駐車場付きで3〜4万円程度で借りることができます。
5、6万円程度あればファミリータイプのかなり広い間取りを借りることができるでしょう。
ただし、全てのものが安いというわけではありません。
沖縄本島ではまだ良いのですが、沖縄よりさらに離れた離島では、家電製品や車、加工品など輸送料がかかる分少し高くなっています。
ガソリンの価格に関しては「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」第80条3項に基づいて少し減税されているので本土の価格と大きく変わりません。多くの薬剤師は車通勤なので非常に助かります。(小笠原諸島など沖縄県外の離島はかなり高いので注意が必要。)
ただ、ネット通販最大手Amazon は、たとえ離島であっても送料無料であるので頻繁に利用する機会が増えることになります。
中古車も内地で購入し、フェリーで輸送した方が非常に安くなるので覚えておいた方が良いかもしれません。(薬剤師転職の場合は車を貸与してくれる場合もあるので募集要項を要チェックです)
美男美女と恋仲に!?沖縄の恋愛事情
*こちらの項目はライターの主観を含みます。
出会いが多く、別れは早い沖縄社会
沖縄は本当に出会いが多い。
基本沖縄は車社会で、終電を気にする必要性がないため、夜中まで遊び、泡盛を飲み、オリオンビールを飲み、社交性が高いこともあってか、必然的に出会いが多くなります。
また、ウチナーンチュはビーチを泳ぐところではなく、宴会をするところと考えるフシがある。沖縄の友人が増えてきたらビーチパーティに連れて行ってもらうと、もれなく新しい出会いがあるかもしれません。
また、沖縄は人気観光地であるのも出会いが多い理由の一つです。誰とでも気軽に話しかけやすい風潮にあります。(シャイな人には非常に助かりますね。)
できちゃった結婚も異常なほど多いのですが、沖縄では非常にありふれたことなので周りも納得しています。(コンドーさんまぁつけない人が多いこと。)
両親も子供の面倒見が良いため、さっさと結婚するのは良いことなのですが、離婚も早い。
そんな沖縄県の離婚率は全国ナンバーワン!中でも石垣市は沖縄県内でトップです。(薬局で受付をしていると、患者の姓が変わっていることがよくあります。)
これが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、沖縄の女性は離婚をためらわないし、何より強いんです。(もちろん薬剤師も同じ。)
薬剤師もいる?美男美女が多い沖縄
沖縄の男女は目鼻立ちがしっかりした美男美女がとても多い。特に宮古島出身の沖縄人は美男美女が多いと沖縄内のネットワークでも有名な話です。
有名芸能人を例にあげると、女性では安室奈美恵さん(那覇市)や仲間由紀恵さん(浦添市)、国仲涼子さん(那覇市)、満島ひかりさん(沖縄市)、男性ではGACKTさん(沖縄市)やDA PUMPのISSAさん(沖縄市)など実に美男美女揃いです。
その他、東京都出身の上戸彩さんなども実は母親が沖縄県与那国島生まれ石垣島出身だったりするので、沖縄の血はすごいと思わされます。
医療関係ではミス日本コンテストで準ミスに選出され、以後タレントとしてもご活躍されている友利新医師(皮膚科)が沖縄県の宮古島出身です。(残念ながら、沖縄の薬剤師で美人有名人は見つかりませんでしたが、沖縄出身の美人三姉妹で有名な歌手・知念里奈さんの末妹は薬剤師で沖縄で働いているようです。しかも都内K大出身の秀才。)
さらに、沖縄の女性の国際結婚率は全国で最も高く、米国人男性と沖縄人女性との間に生まれたハーフあるいはクオーターが多いのも美男美女が多くなる理由かもしれません。
近年ではスッキリしょうゆ顔が流行ってきたものの、それでも目鼻立ちがしっかりした顔は昔から現代まで不動の人気っぷりです。
ところが、本場沖縄ではこの感覚は少し違うようです。
沖縄の男性は目鼻立ちが控えめで、華奢な内地の女性が好きな人が結構多い。さらに沖縄の女性は(薬剤師も含めて)気が強い人がとても多く、内地のおしとやかな女性につい気がいってしまうのです。
一方の内地の女性は口下手な沖縄男子に惚れやすい。そもそも沖縄好きで沖縄へ来ているので、素朴で純粋な沖縄男子に惚れてしまうのです。
沖縄の女性も同様で、韓流スターのような薄い顔がタイプっていう人が本当に多い。
さらに、働かない割に呑んだくれてばかりいる沖縄男子に飽き飽きしている沖縄の女性は、仕事ができるスマートな内地出身の男性に興味を抱き、カッコイイと思ってしまうのです。
つまり、ウチナーンチュとナイチャーでは需要と供給が非常にうまく成立しており、めでたくカップルができやすい。(もちろん、全員に当てはまることではありません笑)
沖縄に残る旧暦文化
現在、日本の社会は「太陽暦(新暦)」をベースに動いていますが、沖縄の社会は「太陽暦」に加えて、行事や神事などは旧暦で行われています(中国みたいですね)。
普段の暮らしの中に旧暦と新暦の二つの流れがあって、両方とも欠かせないものになっています。
全国的な正月やお盆だけではなく、沖縄には旧正月や旧盆などもあり、診療所によってはこの日を休診にすることがとても多く、隣接する薬局の勤務薬剤師もその恩恵を受けることがよくあります。(その分、沖縄の薬局では内地と比較して休日が多かったりする場合があります。)
沖縄へのアクセス
沖縄本島へ行くには飛行機と船いずれかの方法で行くことが可能です。
特に航路に関しては、まだweb上に古い情報がいくつかみられるので、以下に最新の情報としてまとめましたので参考にしてください。
飛行機で沖縄へ行く
沖縄本島への飛行機でのアクセスは、全国各地から運航している那覇空港への直行便が便利です。ANA、JALなどのほかに格安航空会社(LCC)なども運航しています。
全日空空輸(ANA)、日本航空(JAL)、日本トランスオーシャン航空(JTA)、スカイマーク(SKY)、ソラシドエア(SNA)、ジェットスター・ジャパン(JJP)、バニラ・エア(VNL)、ピーチ・アビエーション(APJ)、琉球エアーコミューター(RAC)
- 関東から沖縄本島へ
羽田空港(ANA, JTA, SKY)
成田空港(ANA, JJP, VNL, APJ)
- 近畿から沖縄本島へ
関西国際空港(ANA, JTA, JJP, APJ)
伊丹空港(ANA, JTA)
神戸空港(SKY, SNA)
- 北海道・東北から沖縄本島へ
新千歳空港(ANA)
仙台空港(ANA)
- 中部エリアから沖縄本島へ
中部国際空港(ANA, JTA, SKY, SNJ, JJP)
新潟空港(ANA)
小松空港(JTA)
静岡空港(ANA)
- 四国・中国エリアから沖縄本島へ
高松空港(ANA)
松山空港(ANA)
岡山空港(JTA)
広島空港(ANA)
- 九州エリアから沖縄本島へ
福岡空港(ANA, JTA, SKY, JJP)
熊本空港(ANA)
長崎空港(ANA)
宮崎空港(ANA, JTA, SNJ)
鹿児島空港(ANA, SNJ)
奄美空港(RAC)
与論空港(RAC)
沖縄までの最安航空券を検索する(外部リンク)
→ 国内格安航空券予約サイト スカイチケット
航路で沖縄へ行く
『フェリーはてるま2』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
最近では格安航空機(LCC)が飛んでいるので、航路を利用する人が随分減りました。しかし、飛行機が諸事情で利用できなかったり、一つ一つの島を辿りながら沖縄へ到達したい人は航路で沖縄へ行く方法があります。
船で沖縄へ行くには、鹿児島県の鹿児島新港から出ているフェリーを利用します。以前は東京や大阪・神戸からも旅客フェリーが出ていましたが、両航路ともすでにに廃止となっており、貨物輸送のみの運航となっています。
運航する会社はマリックスライン、マルエーフェリーの2社です。マリックスラインからは「クイーンコーラルプラス」「クイーンコーラル8」、マルエーフェリーからは「フェリーあけぼの」「フェリー波之上」が運航されています。
所要時間はおよそ25時間、旅客運賃は14,610~36,530円です。2等席はほぼ雑魚寝のような・・・お世辞にも寝心地は良いとは言えません。快適な船の旅をしたいのなら、1等洋室以上をオススメします。
なお、鹿児島新港までは新幹線の最終駅「鹿児島中央駅」から路線バスで20分ほどで行くことができます。
航路(鹿児島新港〜那覇港)
航路は「鹿児島新港」→「名瀬港(奄美大島)」→「亀徳港(徳之島)」→「和泊港(沖之永良部島)」→「与論港(与論島)」→「本部港(沖縄本島)」→「那覇港(沖縄本島)」
なお、途中のの喜界港、古仁屋港、平土野港、知名港などへは「奄美海運」が運航するフェリーで行くことができますが、沖縄本島までは運航していませんので注意してください。
運航ダイヤや運賃、船舶の概要などに関しましてはそれぞれのwebサイトよりご覧ください。
→ マリックスラインwebサイト
→ マルエーフェリーwebサイト
沖縄で薬剤師をする、沖縄へ移住する
内地とはいろいろ状況が違う沖縄県で薬剤師をしてみようと思ったら、まずは情報収集をしましょう。
この記事では、内地でも勤務経験のある沖縄出身のウチナー薬剤師が沖縄県の薬剤師状況から沖縄で展開する薬局グループまでをご紹介したいと思います。
そもそも沖縄に病院・薬局はどのくらいあるのか
沖縄県には49の有人島が存在すると先ほど紹介しましたが、その中で病院や診療所、薬局などの医療機関の存在する地域は沖縄本島を含め23島(沖縄本島、伊平屋島、伊是名島2、伊江島2、津堅島、久高島、粟国島2、渡名喜島、座間味島、阿嘉島、渡嘉敷島、久米島4、北大東島、南大東島、宮古島34、伊良部島2、多良間島、石垣島27、竹富島、西表島3、小浜島、黒島、波照間島、与那国島2)。(数字は病院・診療所の数です)
島が多いものの、離島の医療は人材的・経済的理由から不足気味であり、病院がなく診療所のみという島がほとんどです。そのため、離島で治療できない急患患者の沖縄本島への輸送を陸上自衛隊や海上保安庁が行っています。
なお、宮古島、石垣島には比較的大きな県立の総合病院が設置されているため、それらの島の周辺離島での急患は沖縄本島ではなく宮古島や石垣島に搬送される場合もあります。
また、保険調剤薬局も一部の地域にしか存在せず、薬剤師として勤務できる沖縄県内で病院・保険調剤薬局が存在する地域は沖縄本島以外に、久米島*、宮古島、石垣島、南大東島の5島のみとなっています。
令和2年9月には株式会社沖縄アイティ(I&Hグループ)が南大東島にみなみだいとう薬局をオープンし、離島医療に貢献しています。
(以前は島尻郡の粟国島にも島唯一の調剤薬局が存在しましたが、2018年7月に閉鎖となっています。)以下に沖縄県の主要な島の医療機関の数を示しました。*久米島は公立病院のみで、民間病院はありません。
地域 | 医療機関数(病院数) | 調剤薬局 |
沖縄本島 | 790(92) | 496 |
久米島 | 4(1) | 2 |
宮古島 | 36(4) | 16 |
石垣島 | 28(3) | 22 |
南大東島 | 1(0) | 1 |
九州厚生局データ(平成30年9月1日時点)
沖縄で大きな病院・調剤薬局グループ
『沖縄県立八重山病院』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
薬剤師の中には、大きな急性期病院で働きたい人や、安定した大手調剤薬局で勤務したいという人がいると思います。
沖縄県では全国同様、大型の急性期医療を提供する病院もありますし、大手調剤薬局も沖縄へ出店し始めています。
なお、調剤薬局の店舗数に関しましては全国展開する大手より、沖縄を地盤に店舗を増やしてきた企業の方が多くなっています。
沖縄県の大型医療機関
沖縄県の大型医療機関を紹介するにあたり、日経BP社がDPC制度のデータを活用し作成した「病院経営力ランキング(2015年)」を参考にご紹介したいと思います。
DPC制度は、病名や手術方式の違いによって1日当たりの入院医療費を定額払いとするもの。制度に参加する病院は、患者数や平均在院日数などの診療実績が公表されるため、結果的に各病院の経営力をある程度は把握できるようになっています。
対象は、2013年4月から2014年3月までの期間に、DPCの対象病院・調査協力病院であった計1798施設。たとえ症例数が多くても、DPC制度に参加していない病院は、対象からは外れている点に留意してください。
全国で8000超ある病院のうち、DPC制度を導入している病院は1580と約2割ですが、中核病院が多く、急性期医療を提供する病床に限れば、病床数の約6割をカバーしています。
・沖縄県立中部病院(うるま市)全国6位
・中部徳洲会病院(沖縄市)全国29位
・敬愛会中頭病院(沖縄市)全国50位
・豊見城中央病院(豊見城市)全国62位
・浦添総合病院(浦添市)全国85位
・地方那覇市立病院(那覇市)全国264位
・沖縄協同病院(那覇市)全国356位
・沖縄県立宮古病院(宮古島市)全国438位
・ハートライフ病院(中城村)全国455位
・沖縄県立八重山病院(石垣市)全国488位
・沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町)全国497位
・南部徳洲会病院(八重瀬町)全国581位
・沖縄赤十字病院(那覇市)全国625位
・大浜第一病院(那覇市)全国634位
・北部地区医師会病院(名護市)全国715位
・沖縄県立北部病院(名護市)全国744位
・琉球大学医学部附属病院(西原町)全国745位
・与那原中央病院(与那原町)全国1091位
・宮古島徳洲会病院(宮古島市)全国1134位
・小禄病院(那覇市)全国1430位
・同仁病院(浦添市)全国1760位
「日経ビジネスによる2015年・病院経営力ランキングの調査結果」より抜粋
このランキングはあくまで厚生労働省が公開するDPC制度のデータを活用した「経営力のランキング」であり、それら病院が良い病院というわけではないことに注意してください。
特に規模の大きい病院は、最大病床数600床を持つ沖縄県唯一の大学付属病院である「琉球大学医学部附属病院(西原町)」、病床数550床で救急医療の中心的な役割を担う「沖縄県立中部病院(うるま市)」、病床数434床で小児医療に対して高い専門性と実績を持つ「沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町)」などが代表されます。
詳しくは、別の記事でまとめますのでそちらを参照にしてください。(coming soon)
沖縄県で大規模展開する調剤薬局グループ
以下にご紹介するのは、全国で100店舗以上展開する大手調剤薬局のうち、沖縄にも出店する企業です。
・株式会社アインファーマシーズ(アインホールディングス)
・総合メディカル株式会社
・琉球クオール株式会社(クオールグループ)
・株式会社ファーマみらい(共創未来グループ)
・日本調剤株式会社
これら大手調剤薬局グループより、沖縄で店舗数が最も多いのが、株式会社薬正堂が運営する「すこやか薬局」です。それにつぐのが南日本薬品株式会社の「りんご薬局」。
沖縄の薬剤師なら誰もが知っている薬局と思いますが、内地出身の薬剤師からしてみれば、いずれの薬局も「どこやねんっ」の一言だと思います。
「すこやか薬局」を運営する株式会社薬正堂は昭和59年沖縄県具志川市に創業、沖縄本島や宮古島を拠点に現在36店舗展開しています。
平成21年には全国展開するクオール株式会社と資本・業務提携し、さらに店舗展開を加速しています。国立大学と共同での臨床研究活動も行い、学会発表するなど、レベルの高い薬剤師のキャリアアップも進めています。
なお、沖縄で展開する調剤薬局については別の記事でまとめています。
沖縄で働く薬剤師は移住組が多い?
人気観光地で移住者が多く、人口も年々増加している沖縄県では、薬剤師も同様に移住しているのでしょうか。
この疑問に関して書籍やインターネットで調査したのですが、それらしい情報は得られませんでした。
正確なデータがないのでなんとも言えませんが、沖縄で働く薬剤師によると、地元組(Uターン組)と移住組(Iターン組)の比率はそれぞれ半分くらいではないかという意見が多く見られました。
こういう考えで良いのかわかりませんが、薬剤師という強い国家資格を持つので、軽いノリで沖縄へ移住してもすぐに仕事が見つかってしまいます。数ヶ月や数年で内地へ帰ってしまう人もいれば、もう抜け出せないほどに、どっぷり沖縄にハマってしまう薬剤師も多くいます。
したがって、同郷の薬剤師も多く、沖縄に移住しても疎外感を感じることなく仕事をスタートすることができるでしょう。何より沖縄に移住する薬剤師は楽観的で社交的な人が多い。
沖縄県のどの地域で暮らす?薬剤師する?
日本で4番目に小さい都道府県といっても、この広い沖縄のどの地域で暮らし、薬剤師として生きてゆくのか。
多少偏りはあるものの、基本的に薬剤師の仕事は沖縄本土全体にあるため、居住地域を自由に選ぶことができます。
「美しい青い海の近くに住みたい」、「自然に囲まれて暮らしたい」、「田舎は好きだけど不便なのは困る」など、希望のライフスタイルに応じて住む場所を決めましょう。
病院も保険調剤薬局の業務もほとんど内地のそれと違いはありません。したがって、住む場所さえしっかり決めれば、自動的に沖縄のライフスタイルが見えてきます。
ここは沖縄!綺麗な海が近くにあってほしい薬剤師は
海の近くでのんびり海を見ながら過ごしたい。むしろ海の中で魚のように過ごしたいザ・マリン派の薬剤師。
そういう人は、恩納村以北の西海岸がオススメです。恩納村は沖縄リゾートの中心地でもちろん海の綺麗さはピカイチ。東シナ海に沈む夕日もロマンチックです。ダイビングやシュノーケリングなどのマリンスポーツにも最適で、観光地であるのでおしゃれなカフェも増えてきました。
恩納村には調剤薬局も数件と少ないので、お隣の読谷村や、募集の比較的多いうるま市と合わせて検討すると良いかもしれません。
南国は好きだけど、不便な地域はちょっと・・・っていう薬剤師は
南国暮らしといっても生活の基盤は便利な都会がいいという薬剤師は那覇市やその近郊の自治体(浦添市、豊見城市、南風原町、西原町など)で暮らすことをお勧めします。生活の便利さは内地の都市圏とほとんど変わりません。むしろ、様々な飲食店、ショッピングモール、病院、学校、職場などが狭い地域に集まっているため、より便利と感じる人もいるほどです。
その上、内地の都会のように人でごったかえしているということもなく、那覇を通るモノレールは基本的に座れるほど空いています。
また、いくら沖縄の中心といっても、車を20〜30分走らせれば、宜野湾や糸満などの美しいビーチに行くことも可能なので、メリハリを持ち休日のみ海水浴という方には都市部で生活するのが良いでしょう。
もちろん、病院や調剤薬局の募集はたくさんあるので、薬剤師として仕事をする場合、転職に困ることはありません。
美しい海の近くだけど、那覇近隣希望の薬剤師は
こういう欲張り派の薬剤師は、宜野湾市の海岸近く(都市型リゾートとも言われています)がオススメです。
那覇の中心部まで車で20分程度にも関わらず、美しいビーチが広がり、ダイビング、海水浴、釣りなどのマリンレジャーが堪能できます。近くには大型ショッピングセンター、学校、飲食店、病院や薬局などの職場も多くあり、暮らしの利便性はまったく問題ありません。
基本は職場を決めてから沖縄へ引っ越す薬剤師が多いのですが、いきなり宜野湾周辺に引っ越しても、条件さえ選ばなければ簡単に仕事は見つかるでしょう。なお、宜野湾市に接している自治体は浦添市、西原町、中城村、北中城村、北谷町などがあります。
写真は、北谷町に位置する「アメリカンビレッジ」。まるで外国にでも来たかのように、海外からの観光客や在住アメリカ人が多いのが特徴的です。
人混みはもう嫌!沖縄の田舎に住みたい薬剤師は
都会の人混みに疲れてしまった。田舎の大自然の中で暮らしたい薬剤師は名護以北がいい。ただし、名護市より北に行きすぎると薬剤師として働ける職場はほぼなくなるので注意が必要です。
一応、国頭郡の本部町や国頭村などにも診療所に隣接して調剤薬局があるものの、薬局自体が本当に少ないので募集が出ることはほとんどありません。募集が出たらラッキーと考えるべきで、募集の多くは名護市内での募集です。
名護市の東海岸はジュゴンの住む美しい海が広がっており、本部町の美ら海水族館まで30分の距離です。今帰仁村や大宜味村など長閑な村々にも接しています。
手っ取り早く沖縄の田舎に行きたい場合は、石垣島や宮古島などの離島も合わせて検討してみても良いかもしれません。(思いのほか田舎ではありませんが。)
もし、沖縄で楽しく充実した生活を送りたいと思ったら重要なのは「人脈」です。(これは沖縄県の離島においても同様。)
私は孤独が好きだとか、自分一人でなんとかなる、といった都会薬剤師的な発想は大間違いで、楽しい沖縄暮らしの足を引っ張るだけ。
もちろん職場の人と気が合えば、職場の地元人を通して人脈を広げたりするのもよし。最近ではSNSなどを使って、地域のサークルなどに参加して仲間を増やすのも良いでしょう。
もっともアナログで手っ取り早いのは居酒屋。居酒屋と言ってもチェーンでやっている居酒屋ではなく、1人や2人で経営しているような小さなお店です。
カウンターに座ってオリオンビールか泡盛を飲んでいると、そのうちマスターもしくは近くで飲んでいるお客が話しかけてきます。
「お客さんナイチャーでしょ?」
「はい、そうです。」(笑顔で返しましょう)
こうなればどんどんいろんな人が加わって、いつの間にかお店全員で話が盛り上がります。いろいろアドバイスしてくれたり、そのうち一緒に遊びに行ったりして、どんどん友達の輪は広がっていきますよ。
仕事もスローライフ?薬剤師の忙しさは内地と同様!
『星空@石垣島』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
沖縄県は推計人口あたりの薬剤師数がもっとも少ない都道府県です。
厚生労働省の調査によると、沖縄県の推計人口1,446,594人(2018年国勢調査)に対し、薬剤師の数は2,171人、そのうち薬局や病院などの医療機関で勤務する薬剤師は1,939人(薬局1,390人、医療機関549人)です。
言い換えれば、人口10万人当たりの薬剤師数は全国平均が181.3人に対し、沖縄は134.7人と最も少なく、全国対比は73.4%(全国最下位)となっています。
毎年沖縄県の人口とともに薬剤師の数は増えているものの、全国対比はここ10年間減少し続けており、薬剤師数はまったく充足しておりません。
また、沖縄県の医薬分業率は、全国平均が73.2%に対し、77.6%と全国平均より高くなっているものの、1つの薬局あたりの人口は、全国平均の2,199人に対し、2,667人と高く、平均して1つの薬局に集中する患者が多いことが予測されます。
結論として言えることは、
「沖縄の医薬分業は進んでいるが、薬剤師が少ないので、薬局も少ない。いくら沖縄と言っても仕事はスローライフではない。」ということである。
ストレスフリー、薬局でも寛容な沖縄の人々
こちらは、都内から沖縄に移住した薬剤師の個人的な感想ではありますが、私生活だけではなく、仕事場の薬局においても『沖縄感』は感じているという。
例えば患者(特に高齢者)が当たり前のように使う沖縄独自の方言です。同じ沖縄県の離島である石垣島や宮古島では沖縄なまりは強くないのですが、全く聞き取れないのは沖縄本島の患者です。
終始全然聞き取れず、結局何を言っていたのか全くわからずに服薬指導が終わることも多い。
また、沖縄の人は処方箋を応需してから投薬までの待ち時間に対して非常に寛容。
内地の薬局では、お薬を出すまでに3分程度待たされるだけで苛立ちをみせる患者が時々見られますが、沖縄ではそんなことはありません。もちろん、全ての患者がそういうわけではないのですが、内地と比較するとその違いに驚かされることでしょう。
特に石垣、宮古島などの離島地域ではその寛容さは度を超えるほどです。
薬剤師にとって、早くお薬を提供しなければならないプレッシャーが少ないことは大変ありがたいことで、十分な監査時間を確保し、本来の薬剤師の職務を全うできます。
ちなみに、平成30年3月の沖縄のジェネリック医薬品普及率は、全国平均が75.0%であるのに対し、84.6%で全国ダントツの1位。2位である鹿児島県(81.6%)におよそ3%の差をつけています。(全国健保協会の調査より)
沖縄県は日々の生活における収入面で安価なジェネリック医薬品を求めているという意見もありますが、何より寛容でテーゲーな(適当な)性格から先発医薬品でもジェネリック医薬品でもどちらでもいいという考えを持つ患者が多いために、ジェネリック医薬品の普及率が高くなっているのかもしれません。
例えば、新患のアンケートの「ジェネリック医薬品を希望されますか?」という質問に、「はい」「いいえ」「どちらでもよい」で回答する項目を作成すると、9割以上の人が「はい」もしくは「どちらでもよい」にマルをつけます。(むしろほとんどの人が「どちらでもよい」を選びます。)
なお、沖縄県のほとんどの調剤薬局では、最も点数の高い「後発医薬品調剤体制加算3(26点)」を算定しています。
沖縄では薬剤師の確保が急務となっている
『石垣島』 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄
こんなに働きやすい沖縄ではありますが、なぜ沖縄県の薬剤師がこんなにも少なくなってしまったのでしょうか。
いくつかの因子がありますが、理由の一つとして、沖縄県には現在薬学部が存在しないことが挙げられます。
つまり、沖縄人が薬学部に進学する場合、県外の大学に進学しなければなりません。
一部の成績優秀な学生は全国の国公立大学や都内および関西圏の有名私立大学に進学しますが、沖縄県の大学進学実績は全国と比較して芳しくなく、多くの勉強があまり得意でない学生は都市圏から外れた私立大学に行くことが多いようです。(近年では昭和薬科大学付属高校や沖縄尚学高校などを中心に進学率が伸びてきています。)
さらに、薬学部を卒業し、地元沖縄に帰るかといったら必ずしもそうではありません。大学を卒業し薬剤師になると、そのまま本土に就職するケースが非常に多いのです。
その上、郊外の入学偏差値が低めな私立大学薬学部出身者は薬剤師国家試験の合格率が著しく低く、試験に不合格となった国家試験浪人生が都市圏の予備校に通い、そのまま都市部に就職するといった流れが起きているようです。(某薬剤師国家資格予備校関係者による)
正確なデータはございませんが、沖縄で働く薬剤師スタッフのおよそ半分は内地(本土)出身者だという薬局関係者も多い。
ここ10年は特に薬剤師不足で、離島や本島の北部地域はさらに深刻な状況となっています。
2018年7月までは島尻郡の粟国島に1件の調剤薬局が存在しましたが、閉鎖してしまいました。
粟国島は人口およそ800人程度のなので、おそらく赤字店舗だったと考えられますが、それ以上に薬剤師が集められないというのが閉鎖した大きな理由でしょう。薬剤師のいない沖縄の島がまた一つ誕生してしまいました。
そんな沖縄県では薬剤師のUターン、Iターンを切望しています。
〜追記 (2021.11.1)〜
現在、沖縄県薬剤師会は琉球大学を最優先とした沖縄県内の国公立大学に薬学部の創設する活動を精力的に行なっています。
先述したとおり、沖縄県には薬学部自体がなく、薬剤師になるために、本土の大学に進学しますが、そのまま本土で就職することが多い。
また、6年間の平均授業料は国公立大学の350万円に対し、私立大学は1200万円と非常に高額です。
従って、県内に国公立大学薬学部があれば保護者の経済的な負担が軽くなるだけでなく、県外からの優秀な人材が入るので、沖縄の薬剤師水準の向上が見込めるのではないでしょうか。
薬剤師が沖縄へ転職する前に知るべき知識
ここからは、現実的に薬剤師の仕事の給料面や福利厚生にフォーカスして、沖縄をご紹介したいと思います。
沖縄で検討すべき薬局、病院はどこでしょうか。
沖縄の給料は高い?沖縄の薬剤師給料事情
さて、ここからはみんな大好きお金の話。(薬局は儲けに走ってはいけないのですが・・・)
沖縄の薬剤師の人数は全国的に少ないことは先ほど説明してきましたが、そうなってくると、全国から人材を集めるために、沖縄県の薬剤師の給料はめちゃめちゃ高くなるのでは??と考えるかもしれません。
しかし、実際蓋を開けてみると、沖縄の薬剤師の給料はそれほど高くはなく、調剤薬局では、30〜40代の一般薬剤師で年収500〜600万円が平均といったところ。それに住宅手当がついたり、管理薬剤師の手当がつく程度で沖縄薬剤師の給料は本土と大きい差はありません。
病院もほぼ内地同様。同世代の一般薬剤師で年収400〜550万円程度と大きく差はありません。
ただし、沖縄本島北部のような不便な田舎地域や、宮古島や石垣島などの離島地域では600〜700万円の公開求人も出てくるほどで、残業手当や業績賞与等も含めれば実質年収900万〜1000万円支給されていたという実例もあるようです。
時々、都道府県別の薬剤師平均年収をまとめているwebサイト(大手サイトや個人的なサイトを含む)がございますが、当編集部の考えではほとんど参考にならないと考えています。
例えば、2016年に薬キャリがまとめた都道府県別薬剤師年収ランキングでは、沖縄県は19位で532万円(平均年齢42歳、月労働時間174時間)に対し、2017年の結果では46位の386.1万円(39.6歳、181時間)となっています。
たった一年で労働時間は増え、年収は150万円のダウンに。そもそも正社員で年収300万円台の薬剤師はごく稀で、大部分が時短勤務と考えられます。
1、2年でこんなにも大きく給料や順位が変動することはとても考えにくく、時短勤務の薬剤師が多く含まれるなど、調査方法に非常に偏りがあると思われます。参考までに2016年首位の福岡県は2017年には36位でした。
多くのwebサイトで引用されていますが、参考にしないほうが良いと考えられます。
ただ、沖縄県はもともと全国的に見ても労働者の給料水準は低く、全国ワースト2位の年収366万1900円となっています(2017年賃金構造基本統計調査)。
とはいっても、もちろん薬局の調剤報酬体系は全国共通なので、沖縄全体の給与水準の低さが、薬剤師の給与に影響することは理論的にありません。あるとしたら、ただ単に利益を出せていない薬局(企業)か、役員の懐に多く分配されているかどちらかでしょう。
また、沖縄県の給与水準の低いことをいいことに、「沖縄の給与水準は低いから薬剤師の給与も同じく低いからね。」という経営者が時々いらっしゃいます。うまく転職者希望者を騙せているつもりなのでしょうか。
ただ、ここで論破しようとしても転職者のイメージが下がる可能性もあるので、自身の交渉で給与をあげるのは非常に難しい。お金に関する交渉はできればコンサルタントにお願いしたいところです。
沖縄の薬局においても、どうしても薬剤師を欲している薬局では高い給料を出してでも人材を確保したいと思っています。
特に、大手チェーン薬局とは異なり、中小の規模の薬局では近隣地域の相場を逸脱した比較的高条件での薬剤師を募集することが時々あるので、もし、沖縄でも頭一つ飛び抜けた好条件で働きたい場合は、こまめに薬剤師紹介会社に情報を提供してもらうことをお勧めします。
ちなみに以前内閣府が実施た県民の意識調査によると、沖縄県民の約8割が今の生活に満足しているといいます。(かなり満足度が高いですよね?)
失業率はダントツで所得は当時最下位。
なのに大部分の沖縄県民が暮らしには満足している。それだけ、人生をかけて住むには、沖縄はやっぱりいいところなんだと思い知らされます。
給料面で狙い目の沖縄の薬局はどこか
長く薬剤師をしていたり、転職経験が豊富な薬剤師なら予想はつくと思いますが、一般的な「勤務薬剤師」や「管理薬剤師」の給料が高くなるのは、大手グループではなく、数店舗展開の個人薬局や中小規模の薬局グループです。もちろん役職がつけばこの限りではありません。
大手調剤薬局グループは黙っていても、給料が非常に安価な新卒薬剤師が4月になるとゴロッと入社してくるので、基本的にフラットな金額です。
大手の利益が大きいのは、利益率のいい大型店舗をたくさん出店しているということもありますが、薬剤師自体の給料(人件費)が安すぎるからといっても過言ではないでしょう。
そんな沖縄県で展開する大手調剤薬局グループは「アインホールディングス」「総合メディカル」「クオール」「日本調剤」などがありますが、内地同様、大手グループの調剤薬局は平均年収が一般的に低くなる傾向にあります。
これに対し、沖縄で地盤を築き、沖縄県内で最も店舗展開をしているのが、「株式会社薬王堂(すこやか薬局グループ)」と「株式会社南日本薬品(りんご薬局グループ)」で、従事する薬剤師が最も多く、大手調剤薬局とやや近いところがありますが、地域密着しているため、サークルや研修などが充実しています。
当編集部で、給料面や待遇などで特にお勧めしているのが、上記に名を連ねない中小薬局グループや個人薬局です。
店舗が少ないと店舗それぞれに偏った給与設定がしやすく、売上の良い店舗にはどうしても薬剤師が必要な訳で、比較的好条件での交渉がしやすくなります。
また個人薬局は様々なことを会社経費として落とし込もうとする傾向が強く、変わった福利厚生を持つ薬局も少なくありません。
例えば、無料スキューバダイビング。当編集部が調べた情報では、月4回まで無料でダイビングして良いという企業がありました。
すなわち、スキューバダイビングが好きすぎるダイバー薬剤師なら年間48回分のダイビング費用が無料となり、大体50〜100万円分給料とは別に遊べるということになります。(もしかしたらそれ以上潜れる会社もあるかもしれません。)もちろん非課税です。
さらに、船舶免許を取らせてくれるという企業もありました。(もはや社長がお金使うところがないのかもしれません。)
沖縄の薬局でも、一部の薬局では、高い給料を出してでも人材を確保したいと本気で思っています。
特に、大手チェーン薬局とは異なり、中小の規模の薬局では近隣地域の相場を逸脱した比較的高条件での薬剤師を募集することが時々あります。他の店舗で薬剤師の補充ができないため、急な欠員に柔軟に対応できないためです。
転職者個人で薬剤師を募集する薬局を探すのこともできないことではありませんが、数店舗展開の中小薬局では自社のコーポーレートサイトが存在しない事も多いので、募集する薬局を特定するのは非常に困難です。
したがって、もし沖縄で転職を検討する場合、優良な薬剤師紹介会社の薬局紹介サービスを利用したほうが賢明です。
雇用契約書の作成や、給料や待遇の大胆な交渉、意外と大変な離島への引っ越しフォローもしてもらえますので、できる限り有効に活用したほうがいいです。(内地から沖縄に引っ越すのって、ものすごく費用がかかるんですよ。泣)
薬剤師の皆さん、まずは沖縄へいらしてください
これまで、さらっと薄く広く、沖縄の魅力と現状と、薬剤師のお仕事についてご紹介してきました。
とりあえず、沖縄に来た薬剤師として言えることは、気の赴くままになんとなく行ってみたら予想以上にフィットするっていうことです。
イチャリバチョーデー(行き会えば皆兄弟)ですね。むしろ、沖縄や沖縄の離島に期待を込めて移住するより、なんとなくノリで移住した方が定住率は高いような気がします。
沖縄本島は、海や自然を満喫できるし、大型のショッピングモールやアウトレットモールもあるので、お買い物にも困らない。
学校も充実しているし、大きな公園もあるので子育てにもちょうどよい。
仕事面では、管理薬剤師として、もっと勤務薬剤師がいればなぁと思うこともありますが、まぁそれでもナンクルナイサ。
明日も薬局に遊びに来るチルドレンとワイワイガヤガヤしたいと思います。