沖永良部島の離島薬剤師

永良部島(おきのえらぶじま)は2016年楽天トラベル「人気急上昇の離島ランキング」で第1位に選ばれ、全国からものすごい勢いで注目されている離島です。一年中咲いている色とりどりの花と、200〜300も存在すると云われている大鍾乳洞群から、別名「花と鍾乳洞の島」とも言われています。

そんな今もっともホットな離島『沖永良部島』の魅力や概要、医療機関の情報、薬剤師の年収や待遇をご紹介します。

人気急上昇離島ランキング第1位 『沖永良部島』の魅力

『沖永良部島』ってどんなところ?

沖永良部島

永良部島は鹿児島県大島郡の奄美群島の南西部に位置し、面積は93.65km と東京の伊豆大島より少し大きく、東京ディズニーリゾートのおよそ45個分の大きさです。九州本島へは約550km、沖縄本島へは約60kmと圧倒的に沖縄に近く、南国色が強い離島です。

沖永良部島はサンゴ礁を起源とする石灰岩に覆われた島で、数々の鍾乳洞や、大海原を見渡せる絶景が広がっています。

島は北東部の和泊(わどまり)町と南西部の知名(ちな)町の大きく2つに別れており、人口は12,725人(平成29年9月)となっています。

 

鹿児島県でありながら、琉球文化の影響が強く、島に伝わる民謡の多くは琉球音階です。カチャーシー(沖縄方面の両手を頭上にあげて手首を回しながら左右に振る伝統的な踊り方)が踊られる北限となっており、同じ奄美諸島の徳之島とは伝統的な文化に違いがあります。

アルコール類は地元のサトウキビと米麹から造った黒糖焼酎が名産で、その他、テッポウユリやフリージアなどの球根栽培が主な産業です。パッションフルーツやマンゴーなどいわゆる南国果実の栽培も増えており、それらをふんだんに使ったフルーツジュースやフラッペを提供するパーラーも今後出てくるかもしれません。

現在まで地元産業がしっかり機能していたため、観光客の誘致には熱心に取り組んでいませんでしたが、近年、ケイビングを中心とした観光が注目され始めています。

 

沖永良部島といえばケイビング

銀水洞 photo by twitter @nicon_chan

永良部島といえば、「洞窟の聖地」とも呼ばれ大小約200〜300の洞窟鍾乳洞が存在します。

特に、長く過酷な道のりを進んだ先にある洞窟『銀水洞』の巨大リムストーンプール(上写真)はまさに絶景。このリムストーンプールは1億年以上かけて自然が作り出したものと考えられています。

沖永良部島の洞窟群は男性や子供にとっては夢の冒険島に感じられるかもしれません。休日は家族でケイビングして非日常の異空間を楽しむのも良いかもしれません。

 

沖縄とは一味違う!青より蒼い美しい海!

永良部島の海岸線は非常にダイナミックで、リゾートによくある水色で遠浅の海とは一味違った美しさがあります。沖縄の八重山諸島でいうと与那国島のような断崖絶壁でかつ透き通った美しい海が広がっています。

しばらくその断崖絶壁の恐怖と戦いながら蒼い海を覗いていると、なにやら黒い影が現れます。

ウミガメです。

沖永良部島ではウミガメを気軽に見ることができ、1月から3月にかけてはなんとクジラが島周辺に現れ、水しぶきをあげたり、跳び出したりと「非日常」が「日常」の光景として映し出されます。

海岸線の遠くに沈む夕日は絵や写真にも表せないように美しく、星空も他離島と同様の美しさです。そんな、都会では味わうことのできない癒し・安らぎを日常的に味わうことのできる島が、ここ沖永良部島だと思います。

 

2017年3月に「奄美群島国立公園」がついに誕生!

2017年3月に日本で34番目となる国立公園『奄美群島国立公園』が誕生しました。

奄美群島国立公園は日本最大規模の亜熱帯照葉樹林が広がり、アマミノクロウサギをはじめとする希少でかつ固有の動植物が生息しています。これらは約1,000万年前以降の地殻変動により、大陸から奄美へと渡ってきた動植物が独立して固有の進化を遂げたことによります。(* アマミノクロウサギが生息している地域は奄美大島と徳之島と考えられています)

また、琉球石灰岩の海色崖やカルスト地形、北限に位置するサンゴ礁やマングローブ林などたくさんの自然を有する地域です。このような大自然の中で、海岸沿いの景勝地やビーチ巡り、マングローブのカヤック体験やダイビング、グラスボートによる海中散歩を体験することができます。

何よりこの青より蒼い美しい海(上写真)。沖縄の海とはまた違った透き通った紺碧の美しさに癒されることでしょう。

 

沖永良部島での生活環境

日本一のガジュマル/沖永良部島 photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄

剤師としてこの島で暮らしていくには、当然ながら「この島で暮らして行けるのか」について考えなければなりません。

まずは食生活に関してですが、沖永良部島には中規模のスーパーマーケットや24時間対応のコンビニエンスストアは多くはないものの存在します。外食に関しても、海の幸を使用した島料理を中心としたお店があるので外食派の人でも満足できると思われます。しかもアットホームなお店ばかり。

 

もちろん、映画館や大型ショッピングモールはこの島には存在しませんが、

何より、沖永良部島には、今の都会生活において失われてしまったものが数多く残っています

地域が一体となって学校行事を行ったり、集落の行事も1つになって行われます。そんな子供の頃を思い出させるようなノスタルジックな気分に浸ることのできるのも、この島が昔ながらの習慣や伝統を大切に残し続けているからだと思います。

このような暖かい島のコミュニティに憧れ、U ターンや Iターン(出身地とは別の地方に移住すること)して島に定住する人が増えています。

紺碧の美しい海に惚れ込んで移住した方、のんびりとしたスローライフを楽しむために移住した方、子供にのびのびと思いっきり遊ばせるために家族で移住する方など多くの方が沖永良部島へ移住されています。

奄美群島には多くの離島が存在しますが、沖永良部の島人は特に優しいとみな口を揃えていいます。筆者も本当にそのように思えました。

参考までに、沖永良部島の高齢化率は31.5%と、全国平均の26.0%を大きく上回り、超高齢化社会といえます(2015年)。その一方で、合計特殊出生率は2.01(全国平均1.38)と非常に高いのが特徴です(2008〜2012年)。

 

沖永良部島へのアクセス

永良部島へは飛行機またはフェリーでのアクセスが可能です。

最短で行くには航空路でのルートになりますが、時間に余裕がある場合はのんびりとした船旅もいかがでしょうか。(ただし、船はそこそこ揺れるので、船酔いには注意してください。)

飛行機でのアクセス

  1. 鹿児島空港→→→→→→→沖永良部空港
    (日本エアコミューター/ 70分/ 1日3便)
  2. 奄美大島空港→→→→→→沖永良部空港
    (日本エアコミューター/ 35分)
  3. 与論空港(与論島)→→→沖永良部空港
    (日本エアコミューター/ 20分)

フェリーでのアクセス

各港から沖永良部島の和泊港まで

  1. 那覇港→→→与論島→→→→→→和泊港
    (Aライン・マリックスライン/ 7時間)
  2. 名瀬港(奄美大島)→→→→→→和泊港
    (Aライン・マリックスライン/ 5時間40分)
  3. 鹿児島新港→(喜界島)→奄美大島→徳之島→和泊港
    (Aライン・マリックスライン/ 約18時間)

 

沖永良部島の医療機関(病院・薬局 etc.)

photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄

永良部島には、現在、病院・診療所が7件、歯科医院が6件、調剤薬局が5件あり、病院・薬局ともに薬剤師の募集を行っています。

まず病院に関してですが、ここ沖永良部島には島唯一の病院である「沖永良部島徳洲会病院」が存在します。沖永良部徳洲会病院は「生命だけは平等だ!」の理念の元、グループ2番目の離島病院として1990年に開院いたしました。地上6階建で、132病床(一般病棟 62床 / 医療療養 49床 / 介護療養 21床)を持つこの病院は、最新機器・検査機器を備え、24時間365開業し、島の急性期・慢性期の患者の治療にあたってきました。

しかし、27年という歳月を経て、施設の老朽化が目立つようになり、2017年12月の開院を目指し新たに移転することになりました。新病院となっても地域に根ざし、災害に強い島の中核病院としてさらに活躍していくことでしょう。

和泊町では歴史の長い朝戸医院が長く島の住民の診療を行なっており、非常に評判の院長です。すでにご子息もお手伝いをしています。

photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄

続いて調剤薬局ですが、沖永良部島には株式会社さくらホスメディカル運営の『結(ゆい)調剤薬局』や『白百合調剤薬局』などがあり、主に近隣のクリニック(下記参照)から処方箋を応需しています。

2017年秋には他企業(社名非公開)にて新たな薬局の開設も予定されています。薬剤師募集もすでに開始されており、それもかなりの好条件で募集されています。今注目されている離島の一つなので、もし興味がある場合は担当のキャリアコンサルタントに求人の紹介をお願いすると良いでしょう。(評判の良いキャリアコンサルタントを探すにはこちらの記事を参照:その口コミ評判は本当?おすすめの転職支援会社は

追記:2018年1月にOKメディカル株式会社運営の沖永良部薬局がオープンしました。

沖永良部島の「病院・クリニック」
沖永良部徳洲会病院
内科/ 神経内科/ 循環器科/ 小児科/ 外科/ 整形外科/ 眼科/ 皮膚科/ 泌尿器科/ 産婦人科/ 耳鼻咽喉科/ リハビリテーション科/ 麻酔科

大蔵医院
内科/ 消化器科/ 循環器科/ 小児科/ 内分泌科

朝戸医院
内科/ 消化器科/ 外科/ 整形外科

町田医院
内科/ 呼吸器科/ 消化器科/ 循環器科/ 小児科/ 皮膚科/ 泌尿器科/ 耳鼻咽喉科/ 放射線科

福山医院
内科/ 小児科/ リハビリテーション科

本部医院
内科/ 小児科/ 外科/ 産婦人科/ 婦人科

にこにこクリニック
内科/ 消化器科/ 循環器科/ 小児科/ リハビリテーション科

沖永良部島の「薬局」
結(ゆい)調剤薬局 (調剤)
処方箋枚数:平均65枚、門前:町田医院

白百合調剤薬局 (調剤)
処方箋枚数:平均70枚、門前:朝戸医院

まちだ薬局 (調剤)

東薬局 (調剤)→ 休止

宗岡薬品

ドラッグストアモリ和泊店

マツモトキヨシ和泊店

島田薬店

沖永良部薬局(調剤、2018年開業)

九州厚生局のデータを参照にしています(平成29年10月2日)

離島薬剤師の年収・待遇 in 沖永良部島

「沖永良部徳洲会病院」photo by 離島薬剤師どっとこむ沖縄

て、気になる沖永良部島の薬剤師求人件数や給与面ですが、病院・薬局共に共に募集があります。

まずは全国展開している徳洲会グループの沖永良部徳洲会病院。全国の病院で離島にも注力しているのはこの徳洲会のみです。

沖永良部徳洲会病院はまだ旧病院のままですが、現在も求人の募集を行なっています。新病院になったばかりの慌ただしい中に入社するのではなく、一度、旧病院で沖永良部島徳洲会病院の体制に慣れてから新病院に入るのも良い考えかもしれません。

徳洲会病院は一般的な病院と同じように勤務終了時間は早いものの、年間休日日数が105日と他の調剤薬局と比較して非常に少ないです。給料は年収換算で360万円~600万円を想定していますが、下限年収は調剤経験がない方に対しての額面です。また、徳洲会グループの病院は非常に福利厚生が充実しており、三親等まで医療費の補助が受けられたり、島外からの就職の場合は住宅の手当てもあります。(沖永良部島徳洲会病院の求人票はコチラよりご確認いただけます。)

 

調剤薬局おきましては平成27年9月の時点で4店舗の調剤薬局にて募集があります。ただし、こちらは薬剤師求人サイト15 サイトの公開求人であり、未公開求人は含まれておりません。島のすべての求人についてはご登録されている転職支援会社のキャリアコンサルタントにお問い合わせください。

現在、「朝戸医院」および「まちだ医院」の門前薬局を運営する企業で薬剤師の募集がありますが、正社員は年収500万円〜、パート時給は 2,000円〜2,500円の募集をしており、もちろん年齢や経験、店舗の営業時間などによりかなり変動します。未経験・新卒での募集をも行なっていることから、こちらの提示額は新卒での給与と考えて良いでしょう。こちらの企業は新たに新規出店する情報があります。(すなわち3店舗の募集です。)

また先程申し上げたように、他社においても2017年秋に新規店舗が出店する予定で、すでに募集が始まっています。年収600万円〜1000万円の強気の募集を行っており、これはキャリアコンサルタントの交渉でかなりの待遇が望めそうです。(追記:既に2018年1月に沖永良部薬局がオープンしています)

そのほか、ドラッグストアでは株式会社マツモトキヨシより募集が出ております。自らお薬の提案をしていきたい方にはやはりドラッグストアでしょう。島の人とも仲良くなりやすいと思われます。

 

こんにち、離島の薬局では様々な転職支援会社から薬剤師を紹介してもらうことがありますが、好印象のキャリアコンサルタントもいれば、あまり良いとは言えないコンサルタントなどもいます。

特に、「離島」を対象とした転職活動においては、通常の給与・待遇などの額面交渉に加え、遠隔地での面接や採用となった場合の転居や保険薬剤師の移動届けなど少し特殊な事情が混ざってくるため、転職支援会社のキャリアコンサルタントには離島転職ならではの包括的なコンサルティング能力が必要不可欠となってきます。

つまり、離島へ転職される皆さんは、離島転職の流れを熟知し、経験豊富な転職支援会社を利用する必要があります。

 

離島の薬剤師転職サポートが可能で離島の薬局でも評判の良い転職支援会社は業界最大手の「マイナビ薬剤師」、派遣に強い「ファルマスタッフ」、優秀なコンサルタントを集めた「ファーマキャリア」などがあります。