直島の離島薬剤師

戸内海に浮かぶ離島は島全体がアートによる町おこしを行っており、それぞれの島にアートスポットが存在します。中でも、その中心的役割を担ってきた直島は「現代アートの聖地」とも呼ばれ、今では世界中の人々がこの島を訪れます。

そんな世界の人々を魅了する『直島』の魅力や概要、医療機関の情報をご紹介します。

 

現代アートの聖地 『直島』の魅力

『直島』ってどんなところ?

直島町

小27の島々からなる直島町の中心である直島は、香川県高松市の北約13km、岡山県玉野市の南約3kmに位置しております。面積は7.82平方キロメートル(東京ディズニーランドの約15個分の広さ)で、およそ3,200人の人々が暮らしています。

この直島という名前は、平安時代に、保元の乱で敗れた崇徳(すいとく)上皇が讃岐国へ流された際に、この島に立ち寄り、島の人々が素朴で素直なことに感動し「直島」と命名したとも伝えられています。

江戸時代には天領地であったことから、この土地だけは歌舞伎の上演が許されており、島人は義太夫などの芸能の中で育ちました。現在でも女性だけの人形浄瑠璃「直島女文楽」がその伝統を受け継いでいます。

地元産業としてハマチや海苔の養殖が行われているほか、島の北部では銅をはじめとする貴金属の製錬を行い、島の経済を支えてきました。

平成元年に「直島文化村構想」が立ち上げられ、1992年にオープンしたベネッセハウスを皮切りに、安藤忠雄設計の「地中海美術館」や直島銭湯「I♡湯」をはじめ、近年では島のいたるところで現代アート作品やプロジェクトの展開するなど、日本の現代アートの聖地として世界的にも知られるようになっています。

直島の人口は昭和30年の7,501人をピークに年々減少傾向にありましたが、アートプロジェクトによる島の活性化に伴い、年々全国からの移住者が増加しています。そしてついに平成28年の人口が前年をわずかに上回りました。

全国の地方で年々過疎化が進んでいるにもかかわらず、直島のように人口減少が止まることは非常に珍しく、それだけ島の魅力が全国に届いていることでしょう。

同時に、直島を訪れる観光客は年々増加傾向にあります。直島観光協会の調査によると、2003年までの観光客数は年間3〜4万人程度でしたが、2004年に地中海美術館がオープンして以降急速に伸び、2015年の観光客数は年間66万人に達しています。たった10年で約20倍。これは直島の人口の200倍以上です。

「東京のよう に自然・文化・歴史を壊して新しいものを作るのではなく、直島はあるものを活かして無いものを創る」

この考えは先人が築いてきた本来の医療と同じなのかもしれません。

アートめぐりの島旅

出典:http://setouchi-artfest.jp/about/place.html

戸内のアートめぐりの島旅の中心的役割をしているのがここ直島ですが、トリエンナーレ形式で行われている瀬戸内国際芸術祭の開催に伴い、周辺の離島を巻き込んだアートプロジェクトが次々と展開されています。

今回、この瀬戸内国際芸術祭に参加している個性的な東の6つの離島を簡単にご紹介します。

 

直島と並ぶ現代アートの拠点『豊島 (てしま) 』

島は小豆島と直島のちょうど中間に位置する島で、1,000人あまりの人々がが暮らしています。

島の周囲は20kmほどと小さく、島の中央に壇山(340m)がそびえ立つ。

豊島は直島と並び、瀬戸内国際芸術祭の期間中は非常に多くのアート作品が展示され、多くの観光客で賑わいます。2016年の芸術祭では世界中の人々の心臓を集めたクリスチャン・ボルタンスキー作の「心臓音のアーカイブ」やスプツニ子作の「豊島八百万ラボ」が話題となっていました。

芸術祭期間終了後もアート作品は残っているので、休みの日にはのんびりとアート散策にでかけることもできます。

また、豊島にはベネッセアートサイトが運営する「豊島美術館」があります。豊島美術館は広大な棚田の一角に立つ、建築家西沢立衛とアーティスト内藤礼設計による美術館で、美術館という名前でありながら、絵画や彫刻というような作品は1つもありません。あるのは天井に開いた2つの大きな穴と白い空間。そこで何を感じるかは行った人にしかわからりません。

そんな自然とアート作品が多くある豊島には小さな「豊島診療所」と「てしまオリーブ歯科診療所」がありますが、調剤薬局は存在しません。

鬼ヶ島の異名を持つ島『女木島 (めぎしま) 」

松港から船で20分ほど北上すると、人口175人(平成27年)が暮らす小さな離島「女木島」に到着します。女木島は別名「鬼ヶ島」とも呼ばれ、桃太郎伝説の舞台とされています。

鷲ヶ峰山頂では瀬戸内海を360度見渡せる島の絶景ポイントで、約3000本もの桜が花を咲かせる名所としても有名です。付近には全長400メートルもある人工洞窟である鬼ヶ島洞窟が存在します。瀬戸内の住民が海賊(鬼)で苦しんでいるのを知った桃太郎がイヌ、サル、キジを率いてこの島の大洞窟を住処とする鬼を征伐するという日本では知らない人がいない有名な伝説です。

2016年の瀬戸内国際芸術祭では、女木港、鬼ヶ島大洞窟、西浦、女木島の中心部にアートプロジェクトが展開されました。

現在、女木島には女木診療所がありますが、調剤薬局はありません。

人より猫が多い島『男木島 (おぎしま) 』

木島よりさらに船で20分ほど北上すると、人口169人(平成29年)が暮らす小さな離島「男木島」に到着します。

男木島には平地がほとんどなく、雨水に頼り、人々は斜面に小さな畑を耕し、漁業に従事してきました。2016年の瀬戸内国際芸術祭では、石積みの塀、階段などが迷路のように入り組み、空き家や路地を使った作品が点在していました。

そんな芸術祭の熱気の追い風もあり、2014年に男木小中学校が再開しました。一度廃校となった学校が復活することは滅多にないと言います。このように、瀬戸内海のアートプロジェクトは間違いなく着実に島の活性化に貢献しているのでしょう。

また、男木島は別名「猫島」とも呼ばれ、島のいたるところで猫を見かけます。猫の数は200頭を超え、猫が島の長を務める日もそう遠くはないかもしれません。

参考までに、男木島には高松市国民健康保険男木診療所がありますが、調剤薬局は存在しません。

島全体がハンセン病患者の療養施設『大島』

砂青松の大島にはハンセン病の療養所である国立療養所大島青松園が存在します。

かつては誤った知識から遺伝する不治の病とされ、故郷を離れざるをえなくなった人たちは、伝馬船に乗って大島に渡り、この地に骨を埋める人たちも多くいました。

大島青松園と瀬戸内国際芸術祭のかかわりは長く、芸術祭が始まる前の2007年から「やさしい美術プロジェクト」が活動を開始しました。芸術祭ではこのハンセン病の歴史を風化させないために歴史と時間を振り返るプロジェクトを展開しています。

国立療養所大島青松園の主な診療科は内科、外科、整形外科、形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、歯科があり、もちろん薬剤部も設置されております。こちらは独立行政法人国立病院機構の中国四国グループ(外部リンク)が一括採用を行っています。採用となる病院は中国四国グループ管内の22病院であり、グループ内病院の薬剤師の欠員に応じて募集があるようです。

大島の人口は年々減少の一途で、現在88人(平成26年)となっています。

参照:http://www.nhds.go.jp/~osima/、http://saiyou-nho.jp/yakuzaishi/?tab=saiyo 2017, 7,27 確認

「家プロジェクト」の作品が多数『犬島』

島から船でさらに25分ほど北上すると、岡山県に属する人口50人ほどの小さな離島「犬島」に到着します。男木島(別名:猫島)に猫が多いのと同様に野良犬が多いのかと思いきや、そうではありませんのでご安心ください。

犬島には明治から大正時代にかけて銅の精錬所があったことから、この精錬所跡を利用した壮大なアート「犬島精練所美術館」が犬島の最大の見どころです。

また、2010年から集落沿いにある空き家を活用した現代アート「家プロジェクト」がスタートし、個性的で多彩な作品が登場しています。

この小さい離島を散策するには車も自転車もいりません。坂の多い狭い路地に並ぶ、島の古い民家の間をブラブラと散歩するだけでも、きっと穏やかな気分になることでしょう。

犬島には週1回の診療が行われる犬島診療所が存在しますが、当然ながら調剤薬局は存在しません。

オリーブの栽培とともに発展『小豆島』

島からさらに高速船で20分ほど東へ行くと、直島の11倍の面積を持つ「小豆島」に到着します。

温暖な気候である小豆島は日本で初めてオリーブの栽培に成功した島で、それ以来、島のいたるところに、オリーブの樹を見かけます。

小豆島も芸術祭に参加する島の一つですが、島はとても広大なので、すべての作品を見るにはバスで回るかレンタカーが必要です。

何より、小豆島は人口が約30,000人と比較的多くの人が住んでいるため、医療機関も多く存在し、それに伴い薬剤師求人も多く存在します。

この小豆島は別のページで紹介させていただいておりますので、医療機関の情報とともに、そちらを参考にしてください。

 


回は、瀬戸内国際芸術祭に参加している離島のうち、直島周辺の東の離島(直島、豊島、女木島、男木島、大島、犬島、小豆島)を紹介しましたが、西の離島(本島、沙弥島、高見島、粟島、伊吹島)も大変面白い作品や島の魅力に溢れています。実際に、おだやかで静かな瀬戸内海に赴き、ゆっくりとアート散歩してみてはいかがでしょうか。

都会から直島へ移住した人の声

「島小屋(shimacoya)」Photo by 離島薬剤師.com

の写真は東京から直島へ移住された方によって作られたゲストハウス『島小屋』。

「平成に入った頃から東京のあちらこちらにマンションやショッピングセンターが乱立しはじめ、町場で人と人とのコミュニケーションの機会が減少していくことに違和感を覚えていました。もともと地方でゆっくりとした暮らしに憧れがあり、子供たちが生まれたのを機に移住候補地を探し始めた。

旅人として直島を訪れた私に対する島の方たちの優しい心持ちに接したとき、この島名の由来がしっくりはまって、気づいたら島に惚れ込んでしまった。」

「単純に観光客相手にお店をやっている感覚ではなく、島民もバックパッカーも外国人もアートを見にきた人も移住者も誰もが気軽に立ち寄れて、何でもできるフリースペースにしたいんです。」(出典:島へ。海風舎 april 2016 vol.86 より抜粋)

実際に当記事を書いたスタッフもこの島に訪れた際に直島の人々の温かさ、素朴さに心を打たれました。この島小屋にも泊まらせていただきましたが、島小屋オーナーは満室であったにもかかわらず、庭に敷いて寝れるよう、笑顔でテントを貸していただいた経験があります。

これからもこの場所で、様々な交流が生まれていくに違いないでしょう。

直島へのアクセス

島の港は、宮浦(みやのうら)港と本村(ほんむら)港の2箇所で、高速船やフェリーでアクセスできます。宮浦港へは宇野港(岡山県)、高松港(香川県)、家浦港(豊島)、土庄港(小豆島)、本村港へは宇野港、高松港、家浦港、唐櫃港(豊島)からアクセスすることができます。

そのほか近隣の離島(女木島、男木島、大島、犬島)へ行くためには、一度別の島を経由することになります。

直島の薬剤師と医療機関

島を中心とする直島諸島の有人島(直島、向島、家島、牛ヶ首島、屏風島)にある医療機関は、直島に存在する「直島町立ふれあい診療所(内科・小児科・外科)」のほか、歯科医院が1件「安田歯科医院」、調剤薬局が1件「かりん薬局」です。なお、かりん薬局のメイン処方箋応需クリニックは直島町立ふれあい診療所です。

直島およびその周辺離島を対象に、大手含む薬剤師求人サイト7社にて薬剤師の求人を検索したところ、現在募集している医療機関は存在しませんでした(非公開求人は除く)。

現在直島における薬剤師の求人広告は出ておりませんが、求人広告は出していないものの、非公開で求人を出していたり、なかなか薬剤師が集まらず困っているということがので、担当のキャリアコンサルタントに聞いてみるのも良いかもしれません。

(2017年9月追記)

直島およびその周辺離島を対象に、大手含む薬剤師求人サイト11社にて薬剤師の求人を検索したところ、募集している医療機関が存在しました。

調剤薬局名は非公開となっていましたが、現在、直島に存在する調剤薬局は1つなので必然的に場所はわかってしまいますが。

ちなみに募集は「パート」もしくは「派遣社員」としての募集です。

多くの女性が憧れる、自然豊かで、古民家を活用したおしゃれな家が並ぶ街『直島』。

現代アートの聖地『直島』で暮らし、働ける大きなチャンスです。一度ゆっくり検討してみてはいかがでしょうか。

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また、魅力的な瀬戸内海での離島薬剤師を希望するなら、直島の東に位置する「小豆島」を検討してはいかがでしょう。

小豆島は直島の11倍ほどの面積を持つ島で、病院・クリニックが13件、調剤薬局が16件あり、薬剤師の募集も行っています。

➡︎ 小豆島の離島薬剤師はこちら

どうしても直島もしくは周辺離島で暮らしてみたい場合は、直島や豊島をはじめとする離島に住居を構えながら、香川県(高松)や岡山県(宇野)の医療機関で薬剤師をするという方法も場合によっては可能です。

直島の港から出港して、早い時間で香川の高松港には8:00、岡山の宇野港には6:20に到着することができるので、直島や豊島などの離島に暮らしながら薬剤師を行うのも不可能ではありません。